【 受験指導専門家にしむら先生に聞く! 】子どもの中学受験-知っておきたい6つのこと

中学受験に向けての心構え

親子で前向きな受験期を送るために、ぜひ参考にしたい「受験生の親が心がけたいことベスト3」を伺いました。

心構え①「絶対」を決めない

例えば、「偏差値60以下の学校は絶対に受験しない」「この学校にしか絶対”に行かないと逃げ場のない目標を立ててしまうと、模試の結果に一喜 一憂し、成績が上がらないと子どもを責める、そんな受験期を過ごすことになりかねません。
親がもつ受験のイメージは、ある程度自己管理ができるようになった高校受験や大学受験のときの記憶がもとになっている場合が多いと感じます。
一 方、中学受験は一般的に小4~ 6の子どもが学校では学習していないような難解な問題に挑む、少し特殊な受験です。
自分で受験勉強の計画を立てたりス ケジュール管理をしたりするのが難しい年頃だからこそ、受験を「競争」と位置付けたり根性論で追い立てたりするような勉強の仕方では、子どもが勉強嫌いになってしまいますし、親も辛いですよね。

先述したとおり、東京・神奈川だけで約250校もの私立中学校があり選択肢はとても多い環境です。
ひとつの学校に固執しなくても、わが子にあった学校はきっと見つかるでしょう。
また、受験をしなくても公立中学校には必ず進学できるので、最終的に「受験をしない」という選択肢を選ぶこともできます。

大人の仕事に例えると、本業 =小学校の勉強であり、中学受験のための勉強は「副業」の ようなもの。心のゆとりを持って受験期を過ごしましょう。

知っておきたい! 高校受験のメリットとは

中学受験を見送った先に待つ高校受験にもメリットはたくさんあります。
まず、志望校選択を子ども自身が行い、より主体的に受験勉強に取り組むよ うになる点です。
また、中学と高校では偏差値が異なるため、中学受験で諦めた学校に高校で再チャレンジできる可能性もあります。
志望校への思いが強く、その学校が高校からの外進生の受け入れを行っている場合は一考の価値があると思います。

一貫校を選択したものの教育方針が合わないなど、成長とともに子ども自身の思いとの間にズレが生じるケースもあります。
しかし、外部の高校への進学は、いったん一貫校に入学すると、外部受験を推奨されない学校も少なくなく、難易度の高いものになる傾向にあるのも留意したい点です。

心構え②お金について考えておく

中学受験は想像以上にお金がかかります。
そのメインは塾代ですが、ホームページなどに記載された月謝のみを念頭に 置いて資金の目安を立てていませんか?
一般的に、「学年 ×1万円」といわれる塾代ですが、さまざまな塾で講師をしてきた私の経験では「学年×15万円」が実際の額に近いのではないかと思います。
さらに季節ごとの講習、学年が上がれば週末の特訓授業、志望校別対策授業、苦手教科克服のための講習入試過去問題添削サービスなど、オプションの選択肢がどんどん増えます。

子どもの苦手分野などを知り尽くした塾からすすめられれば、受けさせたいと思うのが親心です。
また、塾によっては所属クラスやレベルを下げないための対策も必要になるため、別に個別塾に通ったり、家庭教師を雇ったりと、塾のための勉強が必要になる場合も少なくありません。

心構え③”成績は簡単に上がらない”と肝に銘じておく

中学受験において、「成績」と言えば偏差値を思い浮かべる方も多いでしょう。
各学校のレベルをはかる目安として、また、模試の結果などから導き出され たわが子の偏差値と志望校の偏 差値を見比べて、合否の検討をつける方も多いでしょう。

図解で実感! 中学受験組の偏差値の見方

(図1)中学受験組は、高い学力をもつ子どもたちの集団。
そのなかで成績が均衡し、順位付けされるため、受験者数が多い高校や大学の受験よりも偏差値は低く出る傾向にあります。

みなさんは「偏差値40」と聞くと、どのように感じますか?
ご自身も受験経験のある保護者の方なら、低いと感じる方も多いのではないでしょうか。
しかし、中学受験において全国模試での偏差値40は、大学入試の偏差値60に匹敵するレベルだと考えるべきです。
なぜそのような差が生まれるのかというと、中学に進学する首都圏の子どもたちのうちの20%しか中学受験をしないからです(図1参照)。

この20%の子どもたちは、一般的には小4 から、早ければ小学校入学と同時に中学受験のための通塾をはじめるため、総じて学力は高い傾向にあります。
高い偏差値をもつ子どもたちが集まるなかで 実施される模試では、どうして
もシビアな数字が出るというわけです。
しかも、努力しているのはわが子だけではありません。みんなが同じように勉強に励んでいる状況では、そうそう簡単に成績は上がらないのです。

塾講師の経験から、模試は、試験会場独特の雰囲気に慣れるための「場慣らし」の役割が大きいと考えています。
また、模試には、あらゆる学校の入試問題を平均化した問題が出題されるため、あくまでも目安の成績を確認するためのものだと心得てください。

中学受験は各学校で特色のある入試問題が出題される傾向にありますから、合否の目安をつけたいのであれば、入試と同じ制限時間で過去問題に挑戦し、その正答率を見る方がより正確です。
模試の順位や偏差値はあくまで参考程度に。それだけを評価基準にして一喜一憂しないことが大切です。

にしむら先生からのメッセージ

中学受験を決めたなら、まず大切なのは正しく情報収集をすることです。
志望校や塾選びにとどまらず、中学受験に関する情報を幅広く集め、たくさんの意見を参考にしましょう。
ここで注意したいのが、周囲のロコミを鵜呑みにしないことです。
経験談は参考程度にして、あくまでも自分の子どもに合った塾 選び、学校選択を心がけてください。
幸いなことに、今は信ぴょう性の高い情報を伝えてくれるSNSや動画、本、マンガなど 情報源がたくさんありますから、ぜひ活用してみてください。
受験の悩みは、ママ友よりも専門家に相談するのがおすすめです。

中学受験に役立つ! にしむら先生の著書

「超短編小説で学ぶ日本の歴史 54字の物語史』 西村創・氏田雄介 共著 1,210円 (PHP研究所)
54文字にまとめられた短編小説として人気を集める「54字の物語」シリーズ。
「日本史」をテーマにした「史」は、おもしろくて歴史の知識も得られる内容です。

『中学歴史が面白いほどわかる本』 西村創 著 1,540円 (KADOKAWA)
「納得できる解説で、丸暗記から抜け出せる」と話題の「面白いほどわかる」シリー ズ。
無理なく歴史の流れを把握できる一冊です。

You Tube チャンネル 『にしむら先生 受験指導専門家』

チャンネル登録者数は8万人超!
にしむら先生が小・中学生の保護者向けに配信する大人気チャンネルでは、中学受験、高校受験に役立つ情報や子どもへの効果的な声かけ、勉強法など、役立つアドバイスが満載です。

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お話を伺ったのは

受験指導専門家 西村 創 (にしむらはじめ)さん

早稲田アカデミー、駿台、河合塾 Wingsなどで指導歴25年以上。
新卒入社の早稲田アカデミーでは入社初年度に生徒授業満足度全講師中1位に輝く。
駿台ではシンガポール校講師を経て、当時初の20代校長として香港校校長を務め、過去最高この合格実績を出す。
河合塾 Wingsでは講師、教室長、エリアマネージャーを務める。
現在はセミナー 講演、書籍執筆などを中心に活動。著書1冊は計15万部、「にしむら先生受験指導専門家」としYouTube配信中(チャンネル登録者数約8万人)。