成城学園中学校高等学校では、2016年の改修により、中高が渡り廊下でつながり、より一層コミュニケーションが生まれやすい構造になりました。大切にしていることや学校の取り組みなど、校長先生にお話を伺いました。
数多くの経験が
生徒それぞれの芽を伸ばす
成城学園は1917年、創立者の澤柳政太郎氏が東京市牛込区(現在の新宿区)原町に成城小学校を創設したのが始まりです。義務教育の基礎を形作るだけにとどまらず、早くから海外の情報なども積極的に収集し、生徒一人一人の違いを大切にして個性を伸ばし、知性・心情豊かで、自分の信じる道を自分でひらいていく、「独立独行」の人になることを理想の教育として掲げました。現在の成城学園が「自由な校風といわれるのは、100年以上にわたり、その根幹が変わらずに受け継がれてきた結果です。
「個を尊重するには、中高でしかできない経験をたくさん積むことが大切です」と中村校長。「私は生物が専門なので、よく『埋土種子』の話をします。その辺りの土を植木鉢に入れておくと、そのうち何かの芽が出てきます。長い期間眠っていたものもあれば、去年のタネもある。植物の芽が出るには、水や光など多くの条件が必要です。生徒たちのなかにも多くの可能性を秘めた埋土種子があります。それを芽吹かせるには、いろいろな場所でさまざまな経験をすることが必要なんです」
オンラインもリアルも大切に
その思いは成城独自の体験学習や行事、教育活動に込められています。中でも象徴なのは、中1でライフセービング講習や遠泳を行う「海の学校」や、最難関コースは3000m級の山にチャレンジする中2の「山の学校」です。高校では全体での修学旅行がない代わりに、一人一人が自分に合ったテーマの「課外教室」を選んで参加します。
ヨーロッパ研修、北海道でのキャンプ、都内での芝居鑑賞など、いずれも命の大切さや先人たちの知恵を学ぶなど、「体験から得られるもの」を重視した活動なのが特長です。
コロナ禍でオンラインが当たり前となり、学園のICT環境も飛躍的に進化しました。ただ、再び登校できるようになり、友だちとふれあう生徒たちの姿を見て中村校長が感じたのは「リアルの大切さ」だといいます。「じかに接し、ここでの生活が楽しい!と感じることが宝物になります。6年間でそれぞれが埋土種子の数を増やし、将来、花開くことを願っています」。
ビタミンママ編集部の注目ポイント
成城学園中学校高等学校はここがすごい!
学園内に「恐竜・化石ギャラリー」が完成
2020 年秋、旧校舎の杉の森館がリニューアルされ、「恐竜・化石ギャラリー」が完成しました。ティラノサウルスやトリケラトプスといった恐竜の化石を中心に、古生代・中生代・新生代の海洋生物と陸上生物の化石や標本を約140 点展示。間近で観察できる、プライベート博物館のような趣きです。
「生物の多様性を知ることは個性の尊重に、過去を知ることは未来につながります。生徒たちには本物に触れ、想像力を働かせてほしい」と中村校長。初等学校や中学の授業の一環として、さらに、科学部の研究や美術部のデッサンにも活用していく予定です。また近隣の子どもたちなどを対象とした一般公開も実施されます。
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