東京・神奈川の私立中学の入試は、毎年2月1日から5日に実施されるところがほとんどで、寮のある学校(東京・神奈川以外)の入試は1月に実施されることが多く、「第一志望校受験前のお試し(度胸付)」という位置づけが主流でした。一方で、地方にも高い大学進学率に実績のある学校や、古くからある伝統校、独自の教育改革を進める学校など魅力的な学校は多く、「寮のある学校」にも注目が集まりつつあるようです。
ビタミンママでは、お子さんが中学受験を考えるママ100人を対象に「寮のある学校」に対する意識調査を行いました。また、教育のプロは「寮での学校生活」をどのように考えているのか、アクセス教育情報センター代表の浅見均先生に伺うなど、寮のある中高一貫校について多方面からアプローチしています。
調査結果や専門家のお話しと合わせて、特徴ある教育を行っている注目校も紹介していますので、受験校選びの参考にお役立ていただければと思います。
「寮のある学校」に興味ある?ない?
調査結果発表
※調査概要:「寮のある学校」に対する意識調査
※調査対象:お子さんが中学受験を考えるママ100人を対象
Question1■あなたは子どもの進学先として全寮制の学校に興味がありますか?
▲半数以上が「NO」ただし約3人に1人は「YES」あなたはどう見る?(ビタミンママ「心と体と頭を育てる!寮のある中高一貫校 特集」)
Question2■全寮制学校、寮制学校についてどんなことが知りたいですか?(複数回答)
Question3■「寮での生活」について気になることは?(自由回答)
- 実際に通っている生徒の声、保護者からメリット、デメリットを聞いてみたい(9歳男児のママ)
- どのようなタイムスケジュールで一日を過ごすのか興味がある(10歳女児のママ)
- 寮生活に馴染むのにどのくらいかかる?(11歳男児のママ)
- 洗濯や掃除など、自宅でしたことがなくても大丈夫?(12歳男児のママ)
- 逃げ場がないイメージの寮生活。いじめに対する取り組みやフォローは?(8歳女児のママ)
- 寮生活ならではの勉強の仕方に興味がある(6歳男児のママ)
- 寮で一緒に過ごす寮長、寮母の方はどんな人たち?(7歳女児のママ)
- 各学校の特徴的な取り組みが知りたい(11歳男児のママ)
- 送りだす両親の気持ちを聞いてみたい(6歳男児のママ)
- 親子関係はどうなる?(8歳女児のママ)
▲全寮制中高一貫校 タイムテーブルの一例
<考察>
「全寮制学校」とは、その学校に通う生徒全員が同じ寮で寝起きし、勉強に励む学校をいい、「寮制学校」とは、通学と寮生活を生徒が選択できる学校のことをいいます。
小学校や中学校を卒後したばかりの子どもたちが親元を離れて生活するかどうかは、本人はもちろん、親にとっても大きな選択です。子どもの自立のために興味をひかれる反面、早くから親元を離れることに不安と寂しさを感じる方も少なくありません。ビタママ世代のママたち100人へのアンケートからわかったのは、実際にどういった生活を送るのか「わからない」ことに対する不安が大きいということ。そんななかでも4割近いママたちが「寮で過ごす生活」に対して興味を持ち、寮生活によって得られる経験や学校側の取り組みなどを知りたいと考えているようです。
また、一口に「寮のある学校」と言っても、各学校多種多様な取り組みがあり、「寮があること」の活かし方もさまざま。親元で過ごす生活では得られない精神面での成長や、規律ある生活だからこその学習面での効率的な取り組みは大きな魅力です。
全寮制を掲げる注目校3校
全寮制の中高一貫教育ではどんな教育が行われているのでしょうか。特徴のある教育を行う学校をご紹介します。
学校法人秀明学園 秀明学園中学校高等学校
1978年の中学校開校以来、全寮制の中高一貫校として「全人英才教育」「次世代を担うスーパーエリートの育成」を掲げる秀明学園。医学部・歯学部への合格率は中高一貫校のなかでは全国トップクラスを誇ります。2016年に開設されたスーパーイングリッシュコースでは、ICTやアクティブラーニングを取り入れ、世界を舞台に活躍できる人材の育成にも力を注いでいます。
▲秀明学園中学校高等学校(埼玉県川越市)
学校法人海陽学園 海陽中等教育学校
愛知県蒲郡市、大海原を見渡す広大な敷地に建つ海陽学園は、中高一貫の男子校です。開校から、未来のリーダーを生み出す教育を、という建校理念に賛同した大手企業が母体となるユニークな成り立ちで注目を集めています。
英国イートン校を参考にしたボーディングスクール(全寮制)での学生生活のなかで、規律を守り、自律し、自らの進むべき道を模索しながら、ハウス(寮)で6年間を過ごします。
▲学校法人海陽学園 海陽中等教育学校(愛知県蒲郡市)
島根県立隠岐島前高等学校
島外への進学が後を絶たず、閉校の危機にあった同校。
8年前から島を挙げて取り組みはじめた「隠岐島前高校魅力化プロジェクト」は、少人数を強みに徹底した個別指導、県外からの多様な生徒の受け入れ、魅力的なキャリア教育ときめ細かな進路指導が受けられる公立塾の充実など、まさに「魅力的な学校」への改革を推し進め、現在は日本中から多くの入学志願者が集まる人気校になりました。
県外からの進学生は寮での3年間を過ごし、島ならではの経験を積み上げていきます。
▲島根県立隠岐島前高等学校(島根県隠岐郡海士町)
- 1
- 2