修行と修学の二つの道を指す「行学の二道」。知識や経験(学)を行動(行)で示せる生徒を育てることが、立正の建学の精神です。
その源流にあるのは日蓮聖人の精神。正しい行いを進んで体現することをモットーに、尊敬され、愛され、知恵のある人を育てています。
▲人の意見に耳を傾け、自分の意見を伝えるだけでなく、思考力や判断力も身に付けます|立正大学付属立正中学校・高等学校|東京都大田区
継続は力。6年間を通して 真のコミュニケーション力を育む
近年の子どもたちの活字離れは大きな問題です。本や新聞を読んだり、文章を書いたりする機会が減ることは、基本的なコミュニケーション力の低下にもつながります。そこで立正では、中高の6年間を通して、継続的にR-プログラムを行っています。
Research(調べる)、Read(読み取る)、Report(表現する)の三つのスキルを伸ばすことを目標に、2013年から始まった独自の教育です。
Rープログラムの取り組みの柱として行っているのが、コラムリーディングと1分間スピーチです。各学年担当の先生が選んだ新聞の社説やコラムを全員が素早く黙読します。そして内容や感想を文章にまとめたあと、みんなの前で発表することで、読む力と表現する力を養います。
週に1~2回、朝のショートホームルームで6年間にわたって継続することで能力を定着させるという狙いもあります。扱うテーマは、学年が上がるにつれ高度になり、時事や道徳、さらにはデータ分析などにも広がっていきます。
段階的にグループディスカッションやディベートなどの機会も設け、相手の意見を聴く・自分の意見を伝えるなどの力を鍛え、思考力・表現力の向上へとつなげていきます。
▲約5 万冊の蔵書がある図書室。中庭テラスに面した明るい空間です|立正大学付属立正中学校・高等学校|東京都大田区
大人もハッとする意見が 次々に飛び出す貴重な時間
中2で扱った「一番ブラックなのは公立の中学校の先生」という記事は、先生は残業代が支給されないのに遅い時間まで部活をみているという働き方改革の視点も含む内容でした。
「部活の数を減らし、複数の顧問が交代制で担当して負担を減らしては?」「毎日必死で練習しているのに、それに寄り添えない先生は心がない」など、白熱した意見交換が続きます。
「生徒も教師も一人の人間として、お互いの立場を理解しながら共生すべき」という発言からは、思いやりの心を学ぶ機会にもなりました。
また、「外国人観光客が京都の竹林に落書きをしたり、勝手に民家の庭に入って飲食や記念撮影をしたりなどの被害が出ている」という記事について考えた中3は、法律による罰則で対応している国の事例をもとに、「それに倣うべき」「観光産業に生活を支えられている人を守るために受け入れるしかない」などの意見とともに、「入国する際のハンドブック配布や観光地でのサインの充実などの対応を考えては?」という知恵も出され、多角的な考え方と視野を広げる重要性に気づきます。
Rープログラムは社会のさまざまな問題を自分事としてとらえ、真剣に考える貴重な体験学習の時間です。この学びが生徒たちの未知の力を発掘し、真の生きる力となって根づいていきます。