大妻は、「良き妻、良き母、良き社会人たれ」という精神のもと、社会で活躍できる女性の育成を目標に、1908年に創設されました。
伝統の教育に未来を見据えた教育を融合した学校を創るべく、1988年に大妻多摩を開校。世界へ挑戦する女性を育む教育をしています。
▲実物主義の理科は中1 から実験を多く取り入れ、「理科が好き」という気持ちを育てます|大妻多摩中学高等学校|東京都多摩市
「ごきげんよう」は伝統と先進性お互いを尊重しあうあいさつ
大妻のキャンパスで交わされている「ごきげんよう」というあいさつ。実はここに、これからの人生100年時代の社会で常に学び続け、活躍できる女性を育成する大妻の精神が込められています。
明治41年の創立当初、大妻は女子校としては珍しく、2部(夜間)教育を行っていました。混乱期の中、働きながらも学びたいと願う女性たちに門戸を広げるという目的です。
夕方のキャンパスでは、授業を終えた1部の生徒と、仕事を終えて授業に急ぐ2部の生徒がすれ違います。このときのあいさつは、こんにちはでもさようならでもなく「ごきげんよう」。
お互いを尊重しながら、エールを送りあうという伝統です。
▲生物と化学用に4室、物理用に1室の実験室があり、リケジョの育成に積極的です|大妻多摩中学高等学校|東京都多摩市
大妻の教育改革「TSUMATAMA SGL」
2019年度から始まった教育改革で、大妻多摩独自のプログラムである「TSUMATAMA SGL」。
論理的に考え、科学的な探究心をもつことで心からなるほどと思える教育を行う「Science(理数)」、英語の授業の多くをネイティブ教師が担当し、世界に羽ばたくことを目指す「Global(国際)」、文字通り学問とアーツを融合させた「Liberal Arts(教養)」の頭文字をとったものです。
国内外で活躍し、社会に貢献するために、自分はどうするべきかを考えられる生徒を育てることが目標です。
東京西部にある多摩キャンパス。周辺の豊かな自然環境は、生徒の精神的な安定と理数教育にも大きな役割を果たしています。5つの理科実験室を活用した実験・観察はもちろん、たとえば夕暮れの高尾山にムササビ観察の校外学習に行くことも。
体をマントのように広げて飛行するムササビを見た生徒たちからは「哺乳類なのに飛ぶの!?」「秒速16メートルだから時速57・6キロ?」「120メートル以上飛ぶんだって」と事前学習の内容が目の前に現れたことに感動し、興奮気味の言葉が次々に発せられます。
「飛ぶというより滑空。前足と後足の間の飛膜を広げることで、樹から樹へと飛び移るのです」という先生の言葉に大きくうなずき、つながる会話は本当の意味でのアクティブラーニングです。
この他、海ほたるの採集や東京農工大学の理科研究室への参加、ANAの格納庫見学など、自らの将来像も描きながら多くの体験を重ねる6年間です。さらに女子校には珍しく、文系でも数を必修としているところも特長です。
こうした取り組みによって、ここ数年で理系、医薬系を目指す生徒の数が飛躍的に伸びました。
ベースがあるからこそ、教育が生きます。大妻多摩は伝統、そして日本の心を大切にしながらも、世界に目を向ける女性を育てています。