▲陽光学院
読んだ本は「読書の記録帳」に
本を読めば語彙力や読解力が伸びる
ある生徒が「江戸時代の人は遠出するときにどうして何日も歩くんだろう。新幹線で行けばいいのに」と言ったのを聞いてハッとしました。社会の授業で、江戸時代とか高度成長期の新幹線開通のことを習っていても、それらが生きた知識として結び付いていないのだと感じたからです。
また一方で、算数の文章題も然りです。「何を問われているのかがわからない」「問題文を読みきる前に答えてしまって、できる問題も落としてしまう」という生徒をたくさん見てきました。その大きな原因は、「読書量が足りないから」と痛感し、2021年4月からスタートしたのが「読書の記録帳」です。銀行の通帳記帳と同様の仕掛けで、読んだ本が記録されていきます。
このシステムを導入してからは本を読む子どもがぐんと増えました。スタートして3ヶ月。すでに100冊以上読破した子が何人もいます。「本を読む暇があったら勉強しなさい!」という親御さんもいらっしゃるとは思いますが、読書は語彙力や読解力を伸ばし、ひいては成績アップにもつながるのです。
また「読書の記録帳」導入による副産物もあります。歴史、地理、科学、生物、スポーツ、アートなど、その子がどんなジャンルの本を好んで読んでいるかによって興味・関心の向いている方向がわかるようになりました。これはその子に合った学校選びのさいにたいへん役立っています。
塾の2階にある「陽光ライブラリー」の蔵書は1000冊以上。1人2冊まで借りることができます。2週間を返却期限としているのですが、ほとんどの子が次の授業までには返却し、次の本を借りていきます。なかには授業がない日に本を借りるためだけにくる子も。多い子で月に30冊、1日に1冊ペースで読んでいます。図書館でも本は借りられますが、わざわざ行くのは大変ですし、人気の本は貸出中のことも多いようです。本来、子どもは「新しいことを知りたい!」という欲求の塊のようなもの。身近に「面白い!」と思える本のあふれる環境があれば、自然と読書量は増えていきます。「読書の記録帳」で本を読み続けた子の成長が楽しみです。
お話
陽光学院 中学受験コース主任
池田 慎哉先生