61年という長い歴史をもつ川崎めぐみ幼稚園は、雨でも元気いっぱい体を動かせる広い園舎や、四季折々の自然に触れられる森や畑など、子どもたちの好奇心を育む環境が整っています。
幼稚園教育に携わって57年という大ベテランの園長先生に、同園ならではの温かな教育方針についてお話をうかがいました。

「あいさつ」と「笑顔」があふれる毎日から、
未来を生き抜く力を育てる
幼稚園は、子どもが参加する初めての社会です。
ですから、「楽しいな」「明日もまた来たいな」と思える場でありたいと願っています。
そして私たちが何より大切にしていることは、「人としての土台を作る心の教育」です。
そのために、まずはあいさつ、そして人の話をよく聞くことを重視。子どもたちのお手本となるように、保育者が率先して毎朝子どもたちに「おはよう!」と元気にあいさつします。
そして、子ども一人一人の声に耳を傾けることを徹底しています。この2つができるだけで、人間関係はかなりスムーズになる。だからこそ、幼児期にきちんと身につけてほしいと思うのです。

「礼に始まり、礼に終わる」。週に一度の空手の時間。
相手を思いやる心や粘り強さを、仲間と共に育みます。
(川崎めぐみ幼稚園)
幼児期に社会性を養うために、年長さんを対象に週1回、空手の時間を設けています。
外部の専門講師を招いて行うものですが、技術やスキルの向上を目的にしているわけではありません。
「礼に始まり、礼に終わる」という空手の精神にあるように、練習を通して忍耐力や克己心、他者を思いやる心を養ってほしいのです。
クラス全員で練習することで社会性を身につけ、人としてしっかりとした基盤を築きます。
「めぐみの畑」で育む、感謝と憧れの食育体験
人が生きていく上で欠かせない、食に関する体験にも力を入れています。
園舎から少し離れたところに「めぐみの畑」という畑を所有しており、そこで毎年じゃがいもとさつまいもを育てています。
たとえばじゃがいもなら、3月に年中さんが種いもを植えて6月に全員で収穫します。草取りなどクラスごとに様子を見に行くことで、食べ物がどうやってできるか知ることができ、食べ物への愛着がわきます。
すると、普段の食事でも食べ残しをしなくなる、好き嫌いが減るなどよい影響をもたらします。
子どもたちにとっては、「めぐみの畑」で育てたじゃがいもとさつまいもを使ったパーティーも楽しみのひとつです。
とれたてのじゃがいもは蒸して、さつまいもは焼いて、全員でおいしくいただきます。
じゃがいもを使ったカレーパーティーでは、年中さんがじゃがいもを洗い、年長さんはそれを切る。
年少さんはその様子を見つめ、「来年は、自分も頑張ろう!」と憧れの気持ちを育む。こうしてでき上がったカレーは、この上なくおいしく、最高の食育体験になりますね。

毎年6月のファミリーデーで行う、じゃがいも掘り。
大きなじゃがいもに喜んだり、いも虫に驚いたり、大騒ぎの半日です。
(川崎めぐみ幼稚園)
保護者や地域との交流を通し、社会全体で子どもを育てる
保護者や地域との交流も大切にしています。近年は働くお母さんも増え、忙しい時代ですが、川崎めぐみ幼稚園を中心につながりができたらと願っています。
そんな中で盛んに行われているのが、有志が集う手芸やコーラス、ボーリングといったサークル活動です。
四季折々の花を植えてお世話をしてくださるガーデニングの会の方々には、園庭の美化で大変お世話になっています。
また、「交番の日」にちなみ、毎年近隣の交番を訪問して警察官の方々に感謝の気持ちを伝えています。

近隣の交番訪問
(川崎めぐみ幼稚園)
この活動は、単なる社会科見学ではありません。卒園後、子どもたちが一人で歩く機会が増えたとき、もし危険を感じたら迷わず「助けて」と言える関係を築いておいてほしい――そんな願いが込められています。
幼いうちから警察署の方々とふれあい、親しみを持つことで、いざという時に自分を守る「勇気」と「安心感」を育んでいきたい。そう願ってこの訪問を続けています。
地域交流の一環として、毎年近隣の高齢者の方々を招き、歌や劇の発表会を開催しています。
子どもたちの姿を知ってもらうことで、街中で見かけた際にも「車に気をつけてね」と自然に声をかけ合える、見守りの輪が広がっています。
高齢者の方々には楽しいひと時を、園児には地域社会とつながる貴重な体験を。
社会全体で子どもたちを見守る「温かな安心感」を大切に、これからもこの交流を続けていきたいと考えています。

地域の民生委員児童委員の方々との交流。
園児には地域社会とつながる貴重な体験ができます。
(川崎めぐみ幼稚園)