「カンガルークラス」を「プレ保育」とは考えていないと伺いました。
私たちは「カンガルークラス」を幼稚園に入る前の練習とは捉えていません。子どもにとっては2歳児期という二度とない時期を安心して幸せに過ごし、親にとっては子どもの成長の道筋を皆で分かち合い、子育ての喜びをためていく場です。
現在日本では仕事をもつ母親も多いですが、その中でカンガルークラスに通われている方は、子どもが小さい間はできる限り家庭を基盤に子育てをしようとしている方々です。
子育ては幸せなわざで、大きな社会貢献です。とはいえ、社会から取り残されたような不安を感じることもあるでしょう。私たちはその思いも知りつつ、子育てにはとても深い喜びや意味があり、子育てをめぐる関わりが嬉しいことを、繰り返し一緒に感じ合っています。
▲東洋英和女学院大学付属 かえで幼稚園 2歳児親子クラス「カンガルークラス」(横浜市青葉区)
親子が離れて過ごす時はありますか。
カンガルークラスは家庭から続く社会の小さな入り口です。
子どもは信頼する大人のまなざしの中で、行きつ戻りつしながら一歩ずつ踏み出していきます。ですから、同じ空間に親子が居ることを大事にしています。親から離れ遊び出した子どもが振り返った時に安心できるよう、親はすぐ近くで手仕事をします。
私たちは「もし、ママと呼ばれたら、手を止めて応えてあげてくださいね」とお伝えしています。プログラムの後半は、親子一緒の集いの時間を過ごします。おやつを食べたり、歌ったり踊ったりして、共に楽しい時を過ごします。
子どもは一人ひとりが違い、それぞれの個性や思い、リズムがあります。焦らず比べず、保育者と保護者がその子の2歳児としての時を創り出しながら一緒に楽しみ、支えています。
▲東洋英和女学院大学付属 かえで幼稚園 2歳児親子クラス「カンガルークラス」(横浜市青葉区)
保護者との信頼関係を結ぶことも大切にしているとお伺いしました。
カンガルークラスは、園長の私と保育者2~3名で受け持ちます。1人ひとりが有資格者であり、ほとんどが、かつてかえで幼稚園に通わせる母でもあった者です。
ですからお母さんたちの喜びも悩みもよく理解することができます。カンガルークラスは、保護者と保育者との関わりを丁寧にもち、信頼関係を築いていく場でありたいと思っています。
日常の関わりに加え、子どもが遊んでいる間、保護者7~8人でお茶をいただきながらおしゃべりをするティ―タイムを期に1回もちます。私もなかまに入れていただき、子育てのことや入園に向けてのことをお話しする大切な時間です。
また期の最終日に行う『お弁当作り』も楽しい時間です。保育者の下準備のもと、キッチンや保育室の一角でわいわいと一緒にお料理をします。小さなおにぎりや茹でた野菜やウインナーソーセージ等など…。できあがるとお持ちいただいた子ども用のお弁当箱にお母さんが詰めます。
「凝ったもので無くてもいいのですね」「このくらいの量なのですね」など、お母さんたちのお弁当作りへの見通しが生まれる時でもあるようです。大人はお皿に盛り合わせでいただきます。和やかな楽しいランチタイムです。
私たちは、園が子どもも大人も安心して居られる場所のひとつとなることを願っています。
▲東洋英和女学院大学付属 かえで幼稚園 2歳児親子クラス「カンガルークラス」(横浜市青葉区)
お話を伺ったのは
宮下信子先生
園長 大漉知子先生
日置美奈先生