私がモンテッソーリ教育と出会ったのは今から約40年前のことです。人と同じことができることを重視する一斉教育の中では、子どもは「教えてもらう」といった受け身の姿勢になりがちですが、モンテッソーリ教育では環境の中に用意されたものの中から自分で選ぶことを通して「何をすべきか自分で考える」という自主性が育ちます。
そこにとても魅力を感じ、我が子だけでなく多くの子どもたちにモンテッソーリ教育を実践したいと、「美しが丘こどもの家」を設立しました。
子どもには「自分の体の動かし方を学んだり、言葉や数を学んだりするのに最もふさわしい時期」があり、モンテッソーリはそれを「敏感期」と呼びました。
その子にとって最適な時期に自分で一番やりたいことを選び、適切な能力を身につけることができるよう、教室内にはたくさんの「教具」が準備されています。
毎日、登園から10時頃までは「お仕事」の時間です。子どもがその中から自由にやりたいことを選び、お気に入りの場所で好きなだけそれに取り組みます。
本物の針と糸を使ってお裁縫をする子、アイロンかけをする子、塗り絵やパズルに取り組む子、文字を書いたり足し算をする子もいます。集中して一つのことをやり遂げると「できた!」という達成感から自分への信頼感が生まれ、もっと難しいことに挑戦したいという意欲や、周囲の子を思いやる優しさも育ちます。
▲桜が満開の時期に、年少さんから年長さんまでがそろって「こどもの国」までお別れ遠足へ (美しが丘こどもの家|横浜市青葉区)
3~5歳児までの3学年が一緒の「縦割りクラス」なのも当園の特長の一つで、自然と優しさや責任感、協調性を身につけていきます。
季節に応じた畑での収穫体験や月に一度の鶴見川河川敷でのマラソンをはじめとする園外保育も充実しています。
私たちはこれからも、温かな雰囲気の中、子どもたちが幸せに過ごせるよう心を尽くし、自ら考えて行動できる力や集中して物事に取り組む力、さらに、自己を肯定する気持ちを育んでいきます。
お話を伺った人
園長 中本 恵子 先生