子どもを信じることが第一 〜つるの剛士さんの「子育て論」〜

夏休みに長男くん、長女ちゃんがカナダから帰国。
きょうだい全員がそろったので家族旅行へ。束の間の楽しいひとときを過ごしました

2010年に育児休暇を取得したことが話題となり、「イクメン」の代名詞ともなったタレントのつるの剛士さん。子どもたちのヒーロー、ウルトラマンダイナや子ども番組の司会を務めるなど、子どもたちに人気の仕事をこなしながら、家庭では2男3女のパパという一面も。そんなつるの剛士さんに、「子育て」について語っていただきました。

待望の第一子が誕生! その3時間後には飛行機に

ご存じの方も多いと思いますが、うちには2男3女の子どもがいます。長男はもう19歳。今はカナダに留学し、アウトドアに関する資格を取得するために勉強しています。結婚して少しでも早く子どもがほしくて、妻の妊娠がわかったときは本当にうれしかった。でも、こっちの気持ちを焦らすかのように、なかなか生まれてこなくて。(妻の)里帰り出産だったんですが、当時の住まいがあった練馬から福島まで、仕事が終わるたびに車で往復して、2週間で3000kmも走りました。

待ちに待った長男誕生の日、仕事の合間に奥さんから「破水した」って電話がかかってきて。それを知ったディレクターさんが、「早く行ってあげて!」って早く終わらせてくれて、すぐに車に飛び乗って。でもそこからなかなか出てきてくれず、次の日も朝5時の飛行機に乗らなきゃならない、逆算すると4時に羽田着。だったらここを何時に出てって考えると、あと30分が限界だ、ってところで生まれてくれた。抱いて写真だけ撮って、待望の第一子誕生なのにその余韻に浸る間もなく次の仕事に向かったのを今でも鮮明に記憶しています。

自分が父親になったことをじわじわと実感する

息子が生まれて、役所に出生届を出したとき、「あ、僕は父親になったんだ」って実感した。そこからたとえば旅行の予約を取るときに家族の名前が一人増えていることとか、仕事から帰って妻の子育て話を聞いたとき、そして育児に関する手伝いをしているときなどにじわじわと「そう、僕は父親なんだ」って感覚が生まれてくる。妻は自分で産んだから、産んだ瞬間に母親になったって実感したそうなんだけど、僕の場合はしみじみ感じるというわけではなく、実践的なところで感じてきたかな。それは二人目も三人目も四人目も、五人目のときもそう。特に出生届のタイミングは家族が増えたことを実感したね。

子どもが産まれて、「今日から親だ」って思うことはできても、いきなり親らしいことはできないよね。子どもが親を親にしてくれるんだから。いろんなシーンでしみじみと親になったことを実感し、子どもと一緒にともに育っていく。そう考えると少し、肩の荷が降りるんじゃないかな。

5人目のお子さん誕生の際の出生届。
自分で考えた名前を公的な書面に記し、届を出すときに「父親になった」「家族が増えた」ことを実感してきたそう

子どもの個性を尊重し目の輝きを見逃さない

僕の子育てのモットーは「子どもを信じる」こと。だって、自分たちの子どもなんだから、ちゃんと大きくなってくれるって。うちは5人の子どもがいて、それぞれ個性が違うから、親が「こうしてほしい」「こうなってほしい」ってレールを引いても、その通り走ってくれるかはわからない。だったら、子どもを信じて、子どもが進もうとする道を応援してあげればいい。

ただ、干渉はしすぎず適度な距離感で見守り、何に夢中になっているのか、何が好きなのか。何がわからなくてつまずいているのか。そんな瞬間を見逃さないでほしい。たとえば長男の場合は外遊び。僕が釣りやアウトドア、自転車や山登りが好きで、よく連れて行ってたんだけど、そのとき、いつも目がキラキラしてた。だから進路を模索しているとき、アウトドアの資格を取りたいって言い出したのは必然の帰結だったんだなって思うし、「だったら海外で勉強したらどう?」って、ニュージーランドやカナダなどの選択肢を提案した。

ときどき、息子から悩み事の相談を受けるけれど、そのときは自分の考えを伝えたうえで最後は、「自分のことを信じなさい。大丈夫だよ、君はパパとママの子どもなんだから」って伝える。僕たち親が信じていることを伝えると、子どももきっと自信が持てるようになるんだと思うから。

一緒に外で遊ぶとき、目を輝かせていた長男の姿を見逃さなかったというつるのさん。
そんな長男くんは今、アウトドアの資格取得を目指して、カナダの学校に通っています

「親だから」って考えない。わからなければ一緒にやる

イクメンと言われて久しい僕ですが、よく「子育てで悩みましたか」って聞かれます。そりゃね、たくさんありましたよ。でも、忘れました。相談を受けて、「あー、そんなことで悩んでたなぁ」って思い出しますけど、気がついたら悩む時期なんてあっという間に過ぎてしまうんで。

ひとつ、記憶しているのは息子の勉強のこと。受験勉強をしなきゃいけなくて、でも僕自信、勉強をしてこなかった。だからわが子に「勉強」って言うんだったら、自分もちゃんとしなきゃと思って、息子と一緒に学習塾に通いました。そしたら勉強することの楽しさに僕が目覚めちゃって、逆の発想というか、いまここで勉強しなくても、勉強したいと思った時にやればいいんだから、「ま、いっか」ってなっちゃった。

親は子どもの見本にならなきゃって思っているとそれがプレッシャーになって、しんどくなっちゃう。たとえ親でも一人の人間で、わからないことだってあるんだし、そのときは「一緒に学ぼう」って言えばいい。自分がこうだったから、子どももこうしたい、なんて考えを押し付けようとしてもだめ。見本になろうって肩肘はらず、夢に向かって突き進む姿を見せたり、一生懸命、毎日を生きている姿を見せたり。夫婦なかよくしている姿も大事。そんな親を見て、子どもはまっすぐ進んでくれるから。さっきも言ったけれど、子どもだって一人の人間。生まれ持った個性を大事にしてあげてほしいな。

次男くんとイスをDIY。やりたいということは見守りながらさせてあげる。そして一緒に楽しむ。
「危ないことはもちろん止める。けれど、失敗から学ぶことも多いから」とつるのさん

▶︎芸能人で初めて育児休暇を取得したときのこと、保育士を志したきっかけなど、続きは『伸びる子の育て方 ビタミンママVol.95』をご覧ください。

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つるの剛士さんの多彩な趣味のひとつである、キャンプと子育てについてのインタビュー記事も掲載