女性ホルモンの影響を大きく受け、更年期以降はより発症率が高くなるといわれる乳房の疾患ですが、年齢にこだわらず月に一度の自己検診が重要だといいます。更年期や閉経後に増える乳がんについて、K クリニック((消化器内科・乳腺外科:青葉区あざみ野))院長 金杉和男先生に伺いました。
閉経前後の10年間は
乳房疾患の好発期
日本では毎年10万人の女性が乳がんになり、1万5千人が死亡しています。女性が罹患するがんのなかで一番多く、9人に1人が乳がんになります。特に、更年期には女性ホルモンのバランスが崩れやすくなるため、乳がんの罹患率が上がるとされています。
エストロゲンと呼ばれるホルモンが深く関わっているといわれており、閉経前後の異常の場合も乳腺症や乳がんが考えられます。
「乳腺症」とは、症状としては、しこりや硬結形成(組織が固くなること)、ときに乳頭からの分泌物などみられます。しこりには凹凸があり、扁平または不規則な形をしています。皮膚にくぼみをともなうこともあります。押すと痛みがある場合が多く、月経周期と関連して症状が変化するのが特徴です。更年期の収束とともに症状も軽快します。
乳腺症は、乳がんとは直接的な関係はないとされていますが、症状が強い場合は将来的に乳がんを発症する割合が高いといわれており、注意が必要です。
生涯にわたって必要な
月に一度の自己診断
閉経前後の40〜50代は、乳がんの罹患率が高く、年々増加傾向にあります。そのため、乳腺症の症状との区別を自己判断するのは危険ですので、必ずクリニックを受診してください。また、しこりを触れなくても乳頭からの分泌物に血が混じるようであれば早期受診をおすすめします。
近年、更年期を終えた60代以上の乳がん罹患率が急増しています。今や年代を問わず乳がんにかかるリスクがあります。月に一度の自己診断を欠かさずに、早期発見につなげることが重要です。
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