【教えてドクター】Q.目の疲れが取れず、夕方になると視界がかすんできます。

A.加齢と共に目の機能も衰えます。先ずは検診を受け適切な治療やケアを

定期的な検診で自分の目の状態を知り、正しくケアしましょう

疲れ目・かすみ目の原因として一番多いのは加齢による目のピント調節機能の衰え、いわゆる「老眼」です。今の自分の目の状態に合った「正しい矯正」をすることが重要ですが、度が合わなくなった眼鏡を使い続けていたり、中には老眼用の眼鏡をつくらずに過ごし、疲れ目を引き起こしているケースも多く見受けられます。定期的に検診を受け、自分の目に合った矯正をしましょう。

また、PCやスマートフォンなど長時間ディスプレイを見続けることも目の筋肉が緊張して、疲れ目・かすみ目の要因となります。まばたきの回数も減るので、ドライアイの症状が出る人も。適度な休憩をとって目を休ませましょう。目を潤す点眼薬の他、目を温めたり、部屋を加湿する(加湿器を利用する)ことも有効です。

主に加齢が原因の白内障。早い人では40歳位から発症することも

白内障でも疲れ目・かすみ目を引き起こすことがあります。白内障はピントを合わせるためのレンズの役割を持つ水晶体が濁ることで、視界がかすんだり、光のまぶしさが増したりなどの症状が出る病気です。有効な治療法は濁った水晶体を摘出して人工レンズを挿入する手術のみですが、初期の白内障の場合は進行を遅らせる点眼薬を使用することも多いです。視界がかすんだり、光をいつも以上にまぶしく感じたら検査を受けることをおすすめします。

また、このような症状がなくても、定期的に検診を受けることで、糖尿病や高血圧などの全身疾患の合併症など、多くの眼底疾患も早期に発見することができるので、早期治療に繋がります。

そのかすみ目は緑内障の恐れも
早期発見が重要です

日本では40歳以上の20人に1人が発症し、中途失明の原因疾患として最も多い緑内障。徐々に視神経が侵され視野が欠けてしまう病気で、現状では、失った視野を回復させる根本的な治療法はありません。遺伝的にご家族に二人以上緑内障の方がいる方や、強度近視の方などは緑内障になる確率が高いことがわかってきております。

一般的に慢性の緑内障は進行がゆっくりのため初期症状に気づきにくいことが多く、かすみ目などの自覚症状が出て眼科を訪れた時には視野が半分近く欠けているなどのケースが少なくありません。そのために近年では、眼底検査も含む人間ドックが増えてきており、初期に見つかるケースも増えてきました。

眼科では、OCT(光干渉断層計)検査の導入により、従来の診察や眼底写真だけではわからなかった眼底のわずかな変化が数秒の撮影時間で観察できるので、緑内障がより早期に発見できるようになりました。このOCT検査や視野検査によって、緑内障の確定診断、治療につなげていきます。

治療については、緑内障によって視野が欠けた部分は元には戻らないので、今後の進行を遅らせるために眼圧を下げる点眼薬を始めることになります。眼圧は正常値でも視神経が弱っているというケースも多いため、定期検査では正常値だけにとらわれず、自分にとって適正な眼圧を確認して、それを維持することが大切です。

初期に治療を開始すれば高い確率で進行を遅らせることができるため、早期発見が何より重要です。40歳を過ぎたら緑内障検診をお勧めします。

お話を伺ったのは

さこう眼科院長 酒匂丈裕先生

日本眼科学会認定眼科専門医

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