小学生の近視が低年齢化する昨今、子どもの「近視進行抑制治療」に関しても多くの実績を誇るさこう眼科(川崎市中原区)院長 酒匂丈裕先生にお話しをお伺いしました。
進行しやすい子どもの近視に要注意!
近視の要因としては、遺伝や生活習慣など、さまざまなことが関係しています。近年のスマートフォンやゲーム機の普及も原因のひとつではないかと考えられます。
眼球の構造からみると、目の奥行き(長さ)を「眼軸長」といい、これが伸びると近視が悪化します。正常な形の眼球ではピント調整ができていたものが、眼軸長の伸びによって焦点を結ぶ位置がずれてしまい、ピントが合わなくなってしまうからです。
低年齢で近視を発症すると、大人になるまでに強度の近視になる傾向があり、さらに、強度の近視の方は、緑内障、黄斑変性、網膜剥離などの目の病気になるリスクが高まるといわれています。そのため、子どもの近視はできるだけ早めに発見し、進行を遅らせることが大切です。
こんなサインやきっかけがあれば早めに眼科を受診しましょう!
○黒板の字が見えづらくなったと言っている
○学校の眼科検診で受診の手紙をもらって来る
病院に行ったら…
目の疲れや筋肉のコリをとる点眼薬、目の筋肉をストレッチするトレーニングなどを行います。この治療を1~3カ月継続して行い、学童近視か仮性近視(一時的な症状)かを診断します。
近視の進行を抑える治療
学童近視と診断されたときは、ゲームや読書の時間を決めるなど、まずは生活習慣の見直しを。それに加え、近視の進行を抑制する治療もあります。
点眼薬(低濃度アトロピン点眼薬<マイオピン>)
1日一回点眼することで、眼軸長の伸びを抑え、近視の進行を軽減させます。重篤な副作用がなく、近視の進行を平均約60%軽減させた点眼薬との報告がされています。
オルソケラトロジー治療
就寝時に特殊なレンズを装用することで角膜の形を変化させ、レンズをはずした後の裸眼視力を改善させます。日中は裸眼で過ごせるので、スポーツや習い事のため眼鏡を使いたくないという人にも。近視の進行を約30~60%抑えるとの報告があります。