【小学生のココロと体 アレルギー編】夏から秋は特にアレルギーにご用心

2022年は梅雨が6月に明け、35度以上の猛暑日がまったく珍しくない異例の夏でした。その影響で、7月上旬からアレルギー性鼻炎や喘息が悪化し、耳鼻科を受診される方がとっても多いです。「猛暑とアレルギーがなんで関係あるの?」という疑問について、宮前平トレイン耳鼻咽喉科 院長伊東佑永先生に、詳しく説明していただきました。
宮前平トレイン耳鼻咽喉科 ビタミンママ

一番の原因は猛暑によるダニの異常繁殖です

アレルギー性鼻炎はその名の通りアレルギーの病気です。お子さんのぜんそくのほとんどはアレルギーが原因です。春のスギ花粉以外で、アレルギーを起こす原因物質として最も多いものは「ハウスダスト(ほこり)」の中に含まれている「ダニのフンと死骸」です。
宮前平トレイン耳鼻咽喉科 ビタミンママ
ダニは暑さと湿気を好むので、梅雨明け以降、ダニの生体が増えるにしたがってダニのフンが布団やカーペットなどにたまり、夏が終わりに近づくにつれて涼しくなってくると死骸が増えます。例年ですと8月下旬〜10月くらいに、アレルギー性鼻炎やぜんそくが悪化する患者さんが多いのですが、今年は異例に早い梅雨明けとその後の猛暑のために、6月からダニが異常増殖をしています。そのため、7月上旬くらいからアレルギーの患者さんが急増しており、秋にかけてさらに増えていくと思われます。すぐにできる対策は、掃除などでダニの生体やフンと死骸を減らすこと。特に布団やベッドを重点的に対策することが効果的です。

舌下免疫療法は体質を改善する
アレルギーの根本治療です

適切な薬での治療はとても大事です。飲み薬と点鼻薬などでの薬物治療は非常に効果があり、作用の異なる薬をうまく組み合わせることがコツです。ただ、眠気が出やすい薬や効果が弱い薬もありますので、そこは耳鼻科の腕の見せどころ。即効性がある、血管収縮薬を含む点鼻薬を続けると薬剤性鼻炎(点鼻薬性鼻炎)というものを招き、かえって鼻づまりが悪化します。市販の点鼻薬の大多数に血管収縮薬が入っているので注意が必要です。

薬以外の治療としてはレーザー治療(下鼻甲介粘膜レーザー焼灼術)というものがあります。小学校高学年以上であれば外来で受けられることが多いです。風邪とは異なり、症状は長引き、繰り返す病気です。一時的に薬で症状をおさえても、薬をやめれば症状は再燃します。
根本的にアレルギーを治す治療としては舌下免疫療法というものもあります。ダニ、スギに対するアレルギーを3〜5年かけて根本的に治す、とても効果が高いおススメの治療です。我慢してなんとなく様子を見ている方も、今年の夏〜秋は一度耳鼻科を受診し、よい解決策をご相談されてはいかがでしょうか。

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お話を伺ったのは

宮前平トレイン耳鼻咽喉科 院長 伊東 佑永先生

金沢大学医学部卒業。日本耳鼻咽喉科学会認定耳鼻咽喉科専門医。金沢大学医学部附属病院、
氷見市民病院、市立輪島病院、福井県済生会病院などの勤務を経て現職。