【小学生のココロと体のこと 心の発達編】これって反抗期?それとも発達障害?

小学校に上がってから、友だちと仲良く遊べない、注意するとかんしゃくを起こすなど、今までなかった言動が見られます。これって反抗期だから?それとも、もしかしたら発達障害なのかも、と不安に駆られていませんか。陽だまりクリニック美しが丘・理事長 西山晃好先生に、反抗期と発達障害の違いについて伺いました。
陽だまりクリニック美しが丘

反抗期は小学校高学年くらいから。親から自立する成長過程のひとつ

子どもは成人になるまでに、二度の反抗期を迎えます。1歳半から3、4歳ころに起きる第一次反抗期、いわゆるイヤイヤ期と、小学校高学年から中学生くらいまでの第二次反抗期です。

いずれの「反抗期」も、子どもが親から自立するための成長過程です。とはいえ、やはり手がかかり、手に負えない部分もあると思います。「親に恨みでもあるの?」「何が不満なの?」と感情的になってやりあってしまうと、それが溝となり関係がますますこじれていくことも。くれぐれも感情的になってやりすぎず「これは反抗期で、成長するためのひとつの過程なのだ」と前向きに捉え、子どもの思いにひと呼吸もって向き合ってあげましょう。

発達障害かなと思ったら過去を振り返ってみましょう

この反抗期が、「もしかして発達障害かも」と不安になる保護者の方もいらっしゃると思います。ですが、発達障害の場合は高学年になるまでに、何らかの不都合が出ていることが多いです。不安に駆られたら、お子さんの過去を振り返ってみてください。

例えば、いつも集団から外れて一人で行動していることが多かった、遊具の順番を待てなかった、人が遊んでいるおもちゃを奪った、友だちとトラブルが多かった、など。そして多くの場合は、反抗期は親に対して向けられるものであり、学校の先生や友だちなど、家庭以外の対象に向けられることは少ないものです。過去の振り返りと、普段の学校での様子を聞いていただくことで、反抗期なのか、それとも発達障害なのかが見えてくると思います。

もうひとつ、不登校についてふれておきます。第二次反抗期の走りとして、いわゆる「10歳の壁」といわれる時期があります。子どもが急激に変化するときで親も戸惑いますが、子ども同士の関係にも大きく変化が起こるようです。この時期以降、子どもたちは他者の感情に気づき、子ども集団の共通のルールのもとに行動するようになります。このとき、他者の感情に気づけず集団の空気が読めないと、いじめにあったり集団から孤立したりすることが多くなります。

発達障害の子どもはこの集団の空気を読むことが大の苦手であるために、からかいやいじめの対象になりやすくなります。
反抗期が始まる小学校高学年になって学校への行きしぶりが起きたり、不登校になったりすることがあります。発達障害によるもの、その他の要因の場合など原因は多岐にわたりますが、この時期に限らずクラスへの不適応が起きたときには、専門家に相談すると良いと思います。

体の不調と同じように、心の不調も早期発見が大切です。早くから治療に取り組むことで、社会的な機能や適応がより良くなることが望めます。一人遊びが多い、こだわりが強い、かんしゃくを起こすことが多いなど、気になる様子がみられる場合は早めに専門家にご相談ください。

当院では心理検査をもとに、一人一人の見立てに合った治療を行っています。また、その子どもにとって理解ある対応が非常に大切になるため、保護者をはじめ家族はもちろん、学校への対応についてのアドバイスや、療育センターや行政の窓口などについての情報提供もしたいと思います。決して一人で抱え込まず、まずはご相談ください。

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お話を伺ったのは

陽だまりクリニック美しが丘 理事長 西山 晃好先生

京都大学大学院工学研究科卒業後、大手電気メーカーに就職。その後札幌医科大学を卒業。東京大学医学部心療内科、東海大学医学部精神科学教室への入局などを経て、2018 年野口クリニック院長・理事長に就任、2021 年陽だまりクリニック美しが丘を開院。