子どもでも大人でもうっかりケガややけどをしてしまうことは、日常的によく起こるものです。ケガをしてしまったときは、その場での応急処置が必要ですが、ケガの種類に合わせた処置の方法を覚えておくと慌てずに済みます。また、ケガの程度によっては主に形成外科の受診が必要になることもあります。
応急処置の心得と受診の目安について、横浜市都筑区にある松井クリニック院長 松井潔先生に伺いました。
ケガをしてしまったら。
ケガの症状別応急処置と受診の目安
すり傷
傷がそれほど深くなければ、傷口を水道水にあてて、砂や泥などの汚れをとりましょう。かつては、傷は乾燥させてかさぶたにして治すのがよいとされていましたが、今は傷のジュクジュクした液を乾かさないようにして自然治癒を促す「湿潤療法」が推奨されています。絆創膏を貼る場合は、乾燥させないタイプのものを選びましょう。
切り傷
切り傷は、患部を清潔なタオルやガーゼで直接抑えて止血します。患部に砂やごみがついている場合は、止血後に水道水で洗い、その後は前記のすり傷と同様の対応をしましょう。傷口が開き止血しないときは形成外科専門医に縫合してもらいましょう。
刺し傷
小さなとげなど、明らかに刺抜きなどで抜けば問題ないと判断できるもの以外は自分で抜こうとせず、すぐに受診しましょう。思ったより深くまで入っていたり、刺さったものが内部で折れていたりすることもあります。
打撲
軽度の打撲は熱感がとれるまで、患部を冷やしましょう。腫れや強い痛みがあるときは、骨折や筋肉の断裂などの可能性があります。
肘内障(ちゅうないしょう)
急に腕を引っ張られたり、押されたりした際、肘関節が外れてしまうことを肘内障といいます。子どもが腕や肩を動かさなくなるなど肘内障が疑われるときは、なるべく動かさないようにしてすぐに病院へ行きましょう。
やけど
症状の程度によってⅠ度からⅢ度まであります。Ⅰ度は皮膚の表面が赤くなります。Ⅱ度は患部が水膨れとなって痛みもあります。水ぶくれが破れないように注意しながら、水道水で約30分程度冷やしましょう。Ⅲ度は肌の色が褐色や黒色、白色になり、痛みも感じない危険な状態で、皮膚移植などの外科的な治療が必要になります。やけどが体表面の10%以上の範囲の場合、命にかかわることもありますから、すぐに救急車を呼びましょう。
頭やお腹を強く打った
意識障害、息苦しさ、けいれん、手足のしびれ、嘔吐などがないかを確認しながらすぐに病院へ。頭の場合は24時間程度、お腹の場合は2~3日は、いつもと違う様子がないかを丁寧に確認しましょう。
傷が深い場合は自己判断せず
早めに形成外科へ。
すり傷や切り傷の場合、思った以上に傷口が深かったり痛みが伴うときは、躊躇せずに早めに形成外科を受診しましょう。その際は、傷が痛くても慌てずに傷口を充分に洗い、しっかりと汚れを取り除き、乾かさないようにガーゼを当てて保護しておきます。
切り傷が深い場合は、ゴールデンタイム※内であれば縫合を行ないます。
処置の後は、傷に適した消毒液で消毒し、抗生剤含有軟膏などで傷を保護していきます。縫合した場合、抜糸後に傷口が広がらないように適切なテーピングも大切になります。紫外線に当たるとシミのように残りやすくなるため、紫外線防止も合わせて、3カ月程度のアフターケアまで行えばよりきれいになります。
傷あとは、生涯コンプレックスを残すことにもつながります。正しい洗浄や消毒も含め、傷あとを残さないためにもケガをしたら、すみやかに応急処置をするとともに、形成外科の受診を念頭に行動することが大切です。
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お話を伺ったのは

松井クリニック院長 松井潔先生
北里大学医学部卒業。横浜市民病院、北里大学病院、北里大学病院救命救急センター、湘南鎌倉総合病院などに勤務。2000年に松井クリニック開院。日本形成外科学会認定形成外科専門医。その他各種関連医学会会員。