「一時的な症状だけを見ておしまいではなく、根本的に治療したい」と語る上條正勝院長は、乳幼児から高齢者まで幅広い年代の不調を複合的に診察する「かかりつけ医」として、開業以来39年の長きにわたり地域の人々の健康を支えています。また、アンチエイジングにも力を入れており、ホクロやシミにはレーザー治療、シワや肌荒れにはヒアルロン酸やヒトプラセンタ注射などの美容治療も積極的に行っています。
お世話になった整形外科医に憧れた少年時代と 物事に対する考え方の基盤となった兄の教え
――医師を目指されたきっかけをお聞かせください
小3の時に右腕を骨折してしまい、その際にお世話になった医師に憧れたのがきっかけです。当時は長野県の田舎に住んでいたのですが、最初に行った近所の接骨院で「捻挫だ」と言われて処置を受けたら、かえって腫れ上がってしまって。あまりにも痛くて、次の日に片道1時間かけて整形外科のある別の病院へ行ったんです。
両親が共働きだったため、完治までの3カ月間、付き添いもなく1人で通いました。その病院の先生はいつも「よく来たな」と笑顔で迎えてくださり、時には「スイカでも食べていきなさい」と言って優しく接してくださるとても素晴らしい方でした。あの時の記憶は今でも鮮明に覚えています。「僕もあの先生のように優しくて腕利きのお医者さんになるぞ!」と心から思い、同じ整形外科医を目指すことになった私の原点です。
――医師になるという強い思いから、やはり猛勉強されたのでしょうか
僕は6人兄弟で、上5人が男、一番下が女なんですが、僕は5番目で男兄弟の末っ子なんです。兄弟が多かったので、兄たちがよく僕の面倒をみてくれたのですが、なかでも4歳上の3番目の兄と仲が良くて。医師を目指すことを決めた小学校3年生の時、その兄が「この問題を解いてみろ」そして「問題を解いてもすぐ答えを見るな」と江戸時代の算術の本を僕にくれました。そのとき兄貴に言われたのは、「問題の解き方は1つじゃない。1つしか解き方が分からなかったら70点、2つ解き方を思いついたら100点、5つぐらい解き方を思いついたら120点だ」と。高得点を目指して、一生懸命何通りも解き方を考えましたね。今思い返してみると、あの時いろいろな角度から問題を考えた経験は、算術だけでなく全ての科目において非常に有効でしたし、勉強だけでなく、その後の自分の考え方の基盤となっていると感じるので、兄には感謝しています。
機能再建術に力を注いだ勤務医時代から、 診療科目にとらわれない「総合診療医」へ
――勤務医時代から開業に至るまでのきっかけを教えてください。
母校でもある横浜市立大学の附属病院に勤務していた時には、「上肢機能再建手術」や「末梢神経再生研究」に取り組んでいました。肩やひじ、手首などの神経がケガや病気によって断裂してしまった際に、残された筋肉や腱を使ったり、他の部位から組織を移植したりして、再び動かせるように機能を回復させるものです。子供の頃から多角的に物事を考えるのが好きでしたから、手術方法についてもいろいろと工夫を凝らしたりして、当時にしては画期的な手術法を考え出し、論文を発表したりなど、専門領域に没頭しました。
縁あってこの藤が丘という街に引っ越しをしてきて、2年後、1978年に開業しました。
当時はまだ、昭和大学藤が丘病院くらいしかないのんびりした街でした。整形外科の医院としてスタートしましたが、そもそもクリニックの数自体が少なかったので「風邪をひいてしまったのだが診てもらえないか」「太り気味のせいかむくみが取れない」といったさまざまな患者さんがいらっしゃる状態。そんな地域の方々の声に応える形で診療科目を広げ、今では整形外科、皮膚科、内科を軸に、総合診療医として患者さんのあらゆる不調の改善に努めています。赤ちゃんの皮膚炎から高齢の患者さんの生活習慣病まで、症状も年齢もさまざまな患者さんが来院するのですが、長年にわたり培ってきた豊富な知識と経験から、「患者さんの不調の原因を根本から探り、治療していくこと」を信条に、一人一人の患者さんと誠心誠意向き合っています。
同じく、シミやシワが気になるという患者さんの声に応えるという形で、最近ではアンチエイジング治療にも力を入れています。肌荒れや肌のくすみ、シワなどに悩む患者さんに、ヒアルロン酸注射やヒトプラセンタ注射などを行っているほか、ホクロやシミ、イボのレーザー治療、ニキビやくすみのピーリングなども行っています。「気になっていた部分が目立たなくなり、ワントーン明るくなった」「肌荒れが治まり、疲労感までなくなった」など、施術を受けた患者さんが喜んでいる姿を見るのは嬉しいですね。2016年8月からは、スマートフォン、インターネットから予約ができるシステムを導入しました。
患者さんの身体も心も元気にする診療を目指して
――患者さんと接する際に心がけている点をお聞かせください
患者さんの病気を診る時には、生活習慣を含めて多方面からアプローチします。骨粗しょう症や変形性の膝関節症、頚椎症、ヘルニア、筋力の低下といった症状は、生活習慣と密接なつながりがあるんです。なかには「薬だけくれればいい」という患者さんもいらっしゃいますが、そういう方に対しても普段の姿勢や睡眠、食事内容などをアドバイスしたり、必要に応じて一人一人に合った運動プログラムを考え、適度に体を動かすことをお勧めします。その結果、患者さん自身があまり意識していなかった生活習慣を改善して、病気の症状が軽減した、というお声をいただくことも多いんですよ。
また、ただ病気の治療をするだけでなく、具合が悪くて気持ちもふさぎがちな患者さんたちの心を和らげて、楽しい気分で帰ってもらうよう心がけています。たくさんの絵を飾ったり、盆栽などの観葉植物を置いたりしているのはそのためです。あと、患者さんの趣味や長年続けて来られたお仕事の話などをなるべく伺うようにしています。気軽に話せる雰囲気を大切にしていますので、時には患者さんから病気のこと以外の相談を持ち掛けられることもあります(笑)。「ここに来て先生とお話をするだけで元気になる」と言っていただけると、一生懸命やってきてよかったな、と思います。患者さんを元気にするためにも、私自身がお手本となって健康でいなければと、週に1回はジムに通って体を動かしています。「心も体も実年齢より10歳若い人生を目指そう」と、私自身もアンチエイジングに力を入れていますよ。そのおかげか、39年間のうち、体調不良でクリニックを休んだのは半日だけ。何世代にもわたって頼りにしていただけるクリニックを目指してこれからもがんばります。
▲院長 上條 正勝 先生(上條整形外科皮膚科医院:神奈川県横浜市青葉区)
横浜市立大学医学部卒業。関東労災病院整形外科医局、神奈川県立ゆうかり園、神奈川県立足柄上病院、横浜市立大学附属病院を経て、1978年に上條整形外科皮膚科医院を開院。