まるで第二の家族!4世代で通院できる頼れる家庭医

多摩ファミリークリニック院長 大橋 博樹 先生
獨協医科大学卒業。聖マリアンナ医科大学病院、筑波大学附属病院などを経て、亀田総合病院家庭医診療科に勤務。その後、川崎市立多摩病院の総合診療科医長に就任。2010年多摩ファミリークリニック開院。日本プライマリ・ケア連合学会理事、東京医科歯科大学臨床准教授、聖マリアンナ医科大学非常勤講師。

内科、外科、小児科はもちろん、一般的な体の不調であれば、ほとんどの症状を診断できる家庭医療専門医として日々診察にあたる院長の大橋先生。地域との連携や後続の育成など、クリニックや医療の枠までも超えて、地域のたくさんの家族の健康を守っています。


▲多摩ファミリークリニック 診察室(神奈川県川崎市多摩区)

誰でも魔法のように治してしまう祖父に憧れて、医師の道へ

――医師の道を志したきっかけを教えてください。

子供の頃、同居していた祖父が医師で、その影響が大きいですね。当時私たちが済んでいた地域にはクリニックがあまりなかったので、さまざまな不調で来院する患者さんを祖父が一手に診ていたんです。その姿を見て育ったので、いつしか自分も祖父のような医師になりたいと考えるようになりました。

ただ、日本の医療現場は専門性をとても重要視していて、私のようにさまざまな症状を幅広く診察したいという医師が研修を受けられる現場がありませんでしたから、具体的にどのような道を辿れば祖父のような医師になれるのか悩んだ研修医時代でした。その後、指導医の先生に恵まれ、さまざまな科で研修ができる病院を紹介していただいたり、科をまたいで幅広く診察を行う総合診療が一般的な海外での研修を受けたりといった経験を積むことができました。


▲感染症予防のために別室にはベッドが3台。流行時期でも十分な対応が可能です(神奈川県川崎市多摩区)

――先生は家庭医療専門医とお伺いしました。

総合診療(家庭医療)医とはその名の通り、体の不調を総合的に診察する医師のことです。患者さんからよく聞かれる「何科を受診すればいいのかわからない」という声に最も適切に応えます。

目に見える症状だけでなくさまざまな科の見地と、ご家族の生活習慣なども加味して総合的に診断します。例えば、お子さんの咳で受診されたとき、その原因が、アレルギーや風邪などに加えて、お父さんの喫煙にあるかもしれないことに気付いたとします。この場合、お子さんの咳を止める治療と同時に、お父さんに禁煙外来の受診をおすすめすることで、治療に相乗効果が生まれます。これが総合診療のメリットです。

赤ちゃんの夜泣きから糖尿病などの生活習慣病に至るまで、一般的な病気であれば約9割は診断が可能です。ご家族全員で受診していただくことで、そのご家庭の既往症や生活習慣などを把握し、より正確な診断に結びつけます。

――どのような症状の患者さんが多いですか?

2019年度現在、3世代家族が約100世帯、4世代で通院されているご家族も約15世帯いらっしゃいますから、症状は多種多様です。赤ちゃんの鼻水で来院したお母さんが頭痛の相談をされるなど、総合医療を理解していただいている患者さんは、気になる症状があれば「ついで受診」をよくされます。

近年マスコミでもよく取り上げられるアニサキス症の受診も増えています。激しい腹痛が特徴で、原因はアジやザバの寄生虫によるもの。即、内視鏡で確認しながら取り除きます。

腰痛や膝痛のご相談も多く、患者さんのニーズに合わせて超音波を導入し、糖尿病の血液検査は院内で10分かからずに結果を知ることを可能にするなど、多岐にわたる病気の素早い診断や処置ができる体制を整えています。


▲多摩ファミリークリニック キッズスペース(神奈川県川崎市多摩区)

地域とそこに住む家族のニーズに応えることができるのは総合医療医だからこそ

――訪問診療にも力を入れているそうですね。

現在、160 名ほどの患者さんの訪問診療を行っています。行政とも密に連絡をとり、多摩区内にお住いの方ならどなたでも受診が可能です。多世代家族のお宅に伺った際は、おじいちゃんの診察のついでに赤ちゃんのオムツかぶれを診るなど、ご家族みなさんの診察をする機会も多いです。

当院常勤の4名の医師は全員が家庭医療専門医で、うち1名は緩和ケアの専門医でもあるので、末期ガンやALS、パーキンソン病などの方の在宅ケアのお手伝いにも定評があります。院内にケアワーカーが常駐し、患者さんのQOL 向上のためのご相談も随時受け付けています。

訪問診療は、医師だけの力ではどうにもならいないことがたくさんあります。ケアワーカーなどの専門知識も借りながら、チームで取り組んでいます。


▲腰痛や膝痛の診断には超音波診断器も導入しています(神奈川県川崎市多摩区)

――院内には薬剤師が常駐しているそうですね。待合室は第二の診察室だとか。

高齢の患者さんの中には何種類もの薬を同時に服用しているのに、薬の種類や効能についてよく理解していないという方がとても多いことに危機感を覚えたのがきっかけです。

診察の待ち時間に、薬剤師が声を掛け、薬の説明や飲み合わせについてのアドバイスを行います。飲みづらい薬はないかなど、患者さんの投薬治療に対する不安や心配を少しでも取り除けるように、医師の側にもアドバイスをしてもらっています。

また、看護師による待合室での育児相談も大好評です。この取り組みから、多摩区と一緒に第一子のお母さんを対象としたママサロンも開催しており、育児が原因でうつ傾向にあるなど、特別なケアが必要なお母さんと行政サポートをつなげる役割も担っています。

――今後の展望をお聞かせください。

川崎市立多摩病院と連携して、総合医療医の育成プログラムを作りました。私自身が総合医療医になる際に進むべき研修先に迷ったので、後続の育成には特に力を入れています。

また、2010年の開院以来、患者さんや地域のニーズに合わせて対応できることを増やしてきましたが、総合医療のカバーするべき範囲はとても広いと感じています。気付けば、医師、看護師、薬剤師、ケアワーカーと多職種のチームで対応に当たる今の形になりました。

今後も、今はまだ想像もつかないような要望が出てくることでしょう。そういったニーズに、即座に対応できるようにアンテナを張り、フットワークは軽く対応していきたいと考えています。


▲多摩ファミリークリニック 待合室(神奈川県川崎市多摩区)

最新情報をチェックしよう!