女性患者数は男性の約4倍 出産や閉経も発症のきっかけのひとつ
なぜ女性に多いの?
関節リウマチは、女性患者数が男性の約4倍と、女性に多い疾患です。発症年齢は10代から80代まで幅広く、高齢になるほど男女比の差は小さくなります。
全体的に女性が多いのは、関節リウマチの発症のピークである30代から50代で圧倒的に女性が多いためです。
発症のきっかけとして感染症、外傷とともに、出産や閉経が知られており、それが性差の原因です。関節リウマチは免疫が変化する時に発症しやすいのですが、感染症はウイルスや細菌を倒すため、けがは傷を治すために免疫が働くのは分かりやすいと思います。
出産や閉経時に発症が増える理由は、女性ホルモンの変化時にも免疫が変化するためで、落ち着くまで出産では数カ月、閉経は更年期障害という形で数年間続きます。
なぜ診断が難しいの?
出産後や更年期障害時に関節が痛くなってきたら、それは関節リウマチかというと、必ずしもそうではありません。免疫の変化は基本的には自己制御できるもので、関節症状は落ち着いてきます。
ですから関節痛が出現して病院にかかっても、更年期障害や、子育てによる関節の負荷が原因と言われることがありますが、間違いではありません。
しかし一部の方で、免疫の制御ができなくなり、関節に炎症が起きて破壊をきたすことがあります。これが関節リウマチです。ある時点では発症していなくても(自己制御できている)、その後に発症することがあり(自己制御できなくなる)、それが診断の難しい点です。
また採血データが悪くないというだけでは関節リウマチを完全には否定できないという点も、診断が遅れる原因です。
いつ関節リウマチを疑って病院にかかればいいの?
基本的には関節症状が出現して2週間しても改善傾向がなければ、かかるべきだと思います。
その時に、整形外科とリウマチ内科のどちらにかかればよいかを聞かれることがありますが、関節リウマチ診療が得意な先生であればどちらでもいいと思います。しかし看板にリウマチ科と書いてあれば関節リウマチの初期治療が得意かというとそうではない場合もあり、関節リウマチで関節が壊れてしまった後の理学療法や手術が得意という場合もあります。
前者は関節が壊れないようにする治療、後者は壊れてしまった後の治療と、まったく異なりますので、リサーチして受診してください。もちろん仮に専門でなくても、良心的な先生でしたら専門医療機関を紹介してくれると思います。
そして関節リウマチは早期であるほど診断が難しいですので、一度否定されても、症状が続くのであれば一定期間をあけて再検査してください。上述のように、後から免疫が自己制御できなくなり発症に至ることがあるためです。
監修
都筑あずま内科リウマチ科
院長 東 浩平先生