山田りかのシネマエッセイ

プロフィール:某酒類メーカーに勤務するかたわら、ママ達の日々の暮らしを見つめる勤労作家。年齢不詳。いくつになっても、竜也の前では乙女です。

No.1 ティファニーで朝食を

世界中を虜にした夢見る女の子ホリー


オードリー・ヘップバーン

『ティファニーで朝食を』のオードリー・ヘップバーンは、高く結い上げた髪にジバンシーの黒のカクテルドレスを身にまとい、世界中の人々の心を虜にした。
いつかお金持ちの妻になることを夢見て生きる女の子ホリー。しかしこの役を演じた時、ヘップバーンは33才。しかも映画の製作陣は当初この役をマリリン・モンローにオファーしていたという。もしもこの映画をモンローが演じていたら、まったく違った雰囲気の作品になっていたに違いない。

ヘップバーンは女優になる以前、ヨーロッパでバレリーナとしてのキャリアを積んでいた。第二次世界大戦中はドイツ占領下のオランダで、反ナチスのレジスタンスに資金援助をするため、秘密裡に公演を行っていたこともあるという。

大戦後は飢餓に苦しみ、母との生活を支えるため、バレエより3ポンド出演料が高かった舞台の仕事に転身した。彼女が後年、ユニセフの親善大使として恵まれない人々への献身を続けたのは、この経験があったからかもしれない。

生きていくためにショービジネスの世界に身を投じたヘップバーンは、『ティファニーで朝食を』の夢見る女の子ホリーを演じ、輝きを放つ。美しい宝石と貧困。その間に、彼女の人生はある。

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