A.トイレトレーニングのはじめどきは、子どもの発達状況に合わせてというのが大前提です。
大まかに、2、3歳ごろからと考えておいてよいですが、中には1歳でもトレーニングをスタートできるお子さんもいます。早いからよい、遅いからダメということはありませんので、その子の発達度合いを見ながら、ということが1番大切です。
トイレトレーニングのはじめどきを見極めるポイントは5つ
トイレトレーニングは、以下の5点を見極め、その子のタイミングに合わせて行いましょう。
1.膀胱におしっこが溜められるようになってきた
まず、生理的な成長段階として、ある程度おしっこをためて我慢できるようになっていることが必要条件です。具体的には、おむつ交換のタイミングが2時間以上あいていることが目安。
そろそろトイレトレーニングを考えたいなと思ったら、こまめにおむつの状態を見て、おしっこが出ていない状態が2時間キープできていたら、はじめどきです。
2.簡単なコミュニケーションが取れる
発達段階として、「はい」とか「イヤ」という意思表示ができる、あるいは、「痛い」「暑い」など、自分の状況や感情を説明できる、ある程度の意思の疎通ができるようになっていることが望ましいです。
「おトイレに行く?」と聞いたら、「行く」「行かない」と返答できるようならスムーズにトレーニングに移行できます。
3.自分で歩いてトイレまで行ける
ですから、1歳半ぐらいになって、普通に歩行できる状態になったころからが始めやすいでしょう。トイレに、毎回抱っこで向かうのは負担になります。
4.便座やおまるにしっかり座ることができる
用を足す際に大切なのが、腰が安定してしっかり座ることができ、足がしっかり地面についていることです。おまるなどに座らせたとき、座位が安定しない、あるいは足がぶらぶらしている状態だと、排尿はできても、排便が難しいことがあります。座った状態で地面にしっかり足がつき、排便姿勢がキープできる、踏ん張れるということがとても大切です。
最近の一般家庭のトイレはだいたい便座式で、トイレトレーニング用に、便座式便器で使用できる子どもの用の補助便座が市販されています。
こうしたものを使用する場合、地面に足がつかず、足がぶらぶらした状態になることが多いです。
それでもうまくいく子もいますが、もし、うまくいかないなと思ったら、足が地面についているかなということを振り返ってみてもいいでしょう。左右に踏み台を置くなどして、足が踏ん張れる状態を作ってあげてみるとうまくいくかもしれません。
5.大人のまねをしたがる
子どもは大人のやっていることをまねしたがります。ママがバッグを持っているのを見て、自分も袋を持って歩いたり、ぶかぶかの大人の靴を履いてみたり。発達途中のある段階では、遊びの中に大人の真似ごとが入ってきます。そういう時は、いろいろなことに興味が出て、いろいろなことをやってみたいという意欲があるとき。そのタイミングを捉えてトイレトレーニングを始めると、うまく進みやすいでしょう。
トイレトレーニングは、楽しい雰囲気づくりから
子どもにとっては、「トイレ」という空間が未知の場所。
まずは、ママやパパのトイレのタイミングで、一緒にトイレに行くことから始まります。トイレは怖い場所ではないよ、トイレは用を足すところだよということを、徐々に覚えていきます。
トイレが怖い場所ではないということを覚えさせるために、子どもの好きなポスターを貼ってみるとか、壁紙を工夫してみる、お人形を置いてみるなど、環境から整えるのもおすすめです。
病院でも、検査や処置が必要な時、明るい雰囲気の場づくりと、検査や処置について、子どもの発達段階に応じた分かりやすい説明をするよう工夫しています。これを「プリパレーション」と言います。時には人形などを使って説明をすることもあります。
ママ、パパもトイレトレーニングを始める際、楽しい雰囲気作りと、絵本などを使って説明してあげると良いかもしれませんね。
ママ&パパの、心と時間に余裕があるときに始めよう
そして、一番大事なことは、保護者がトレーニングに付き合える精神的、時間的余裕があるということです。
お子さんが「トイレに行きたい」というタイミングで、間髪を入れずにトイレに行ける、あるいはゆっくり用を足せるまで待ってあげられることが、トイレトレーニング成功の秘訣です。急かされたり、待たされたりということが繰り返されると、子どもは混乱するばかりで、トレーニングはスムーズに進みません。
お仕事の忙しさや、兄弟の手のかかり具合、その他の状況など考えて、今はちょっと余裕をもってトレーニングできないなと思ったら、ちょっとお休みして、また仕切り直すというのもおすすめです。
お子さんに「トレーニング失敗した」と思わせないように、「ごめんね、ちょっと今ママが忙しいから、もう少しおむつにお手伝いしてもらって、しばらくしてやりたくなったらまた練習しようね」とお話ししましょう。
また、冬よりも夏の方がトレーニングを進めやすいでしょう。薄着の季節で着脱が容易ということが大きなポイントです。冬にトレーニングを始めてちょっと躓いたなら、「あったかくなったら、また練習しようね。」と仕切り直すのもいいですね。
子どもが何歳になっても、子育ての悩みや疑問は尽きません。 子どもの健康や教育・発達・食育など、みなさんから寄せられた悩みについてそれぞれの専門家にビタミンママが徹底取材!子育てに役立つ記事や、ホッとひと息つけるコラムなど、子育て応[…]
お話を伺ったのは
トトリネコ メンバー 小児科専門医 小澤礼美さん
横浜市立大学医学部卒業。現在、青葉区のクリニックで診断にあたっている。2021年よりトトリネコメンバーとして活動。子育てトークカフェを担当している。私生活では、中学生、小学生男子の母。