【 受験指導専門家にしむら先生に聞く! 】子どもの中学受験-知っておきたい6つのこと

子ども主導で取り組む高校受験や大学受験とは異なり、親のサポートの比重が大きい中学受験。
まずは家族で教育方針を決めること、正しい情報を集めることが必要不可欠です。

わが子の中学受験を考えはじめたら、まずは知っておきたい、「中学受験をするメリット」や「受験に向けての心構え」を、今YouTubeでも大注目の受験指導専門家、にしむら先生に伺いました。

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まずは現状を知ろう! 中学受験の「今」

2023年度の中学受験者数は過去最多を記録し、中学受験への関心は年々高まっています。

ここ数年、受験者数は増加しており、今後もこの傾向は続くと予想されています。
中学校を受験する風潮は首都または近畿圏などに集中しており、私立中学校の数でいうと首都圏で約300校、そのうち東京都に約180校、神奈川県に約60校、首都全体の実に8割以上を占めていることから、中学受験にチャレンジする家庭が多い地域です。

中学受験が増えている理由はたくさんありますが、そのひとつとして2020年度に行われた大学入試改革が挙げられます。
従来の大学入試センター試験が「大学入学共通テスト」になり、知識よりも思考力・判断力などを重視したものに刷新されたことから、中学受験でも、より特色ある教育を謳い、大学入試対策に力を入れ、推薦枠も多い私立中学の人気が高まったと考えられています。

中学受験のメリットとは?

まずは知りたい、中学受験をするメリット。
たくさんあるメリットのなかで、にしむら先生が考える「ベスト3」を教えていただきました。

メリット①学校選択の幅が豊富! 安定した教育環境も魅力

私立中学は文字通り公教育の場ではないので、学校ごとに建学の精神や教育理念を掲げ、独自のカリキュラムにのっとった教育を行っています。
それぞれカラーが異なるので、たくさんの選択肢のなかからわが子に合った学校を選ぶことができるのは大きなメリットです。
卒業後の進路を見据え、進学したい大学・学部に合わせたコース選択を行うなど、大学受験対策が細分化されているのも特長。先取り授業を行い、高3の1年間は大学受験のための授業を行う学校がほとんどです。

メリット②中高一貫校なら高校受験にしばられない

まず、高校受験の際に重要な「内申点」についてお話しします。
内申点とは通知表の5段階評価をもとに点数化されたもので、内申点によって合格可能な高校が限定されます。
点数が高ければ選択肢は広がり、低ければ合格できる学校が限られてしまうというわけです。

単純明快に思えますが、実はなかなか厄介です。
まず、内申点は各都道府県によって、どの時期の成績から算出するかが異なります。

例えば東京都なら中3の2学期の成績のみ、神奈川県なら中2の2学期の成績も加味されるなど、内申点対策のための期間が、住んでいる場所で異なります。
通知表の結果がもとになるため、定期テストの結果だけでなく、提出物や宿題、授業態度も考慮され、先生のさじ加減ひとつという側面もあり、勉強を頑張るだけでは満足のいく内申点をとれない可能性があります。

また、通知表は絶対評価とはいいつつ、集団のなかでの相対評価になりがちなので、 学校全体の学力レベルによって 内申点が取りやすい学校とそうでない学校が出てきてしまうというのが現状なのです。
高校受験にもメリットはたくさんあるのですが(後ほど別の項目でお伝えします)、内申点 に関しては、わかりやすくいえば優等生タイプに有利なシステムといわざるをえません。

一方、試験の結果がすべての中学受験で中高一貫校に進学すれば、高校受験のシステムにしばられることがありません。
部活動や趣味、自分がしてみたいことに6年間じっくり取り組めるという点も大きなメリットといえます。

メリット③受験勉強そのものに 大きな価値がある

中学受験を考えたときにまず見ていただきたいのが、入試の過去問題集です。
暗記科目と思われがちな社会でも、例えば「奈良時代の○○天皇と明治政府が行った政治の共通点を○文字以内で答えよといったように、小学校での学習範囲を大きく上回る、広くて深い知識や思考力を必要とする問題が数多く出題されています。
そのため、塾の授業内容も興味深いものが多く、「学ぶ楽しさ」を知る子もたくさんいます。

6~12歳は脳のゴールデンエイジと呼ばれ、空間認知能力などを効率的に育てられる時期。
受験する、しないに関わらず、受験勉強をすること自体に大きな価値があると思います。

塾に通う子どもたちに将来の夢をたずねると、「新薬を開発して、病気の人を助けたい」「宇宙開発をしたい」というように、具体的かつ大きな目標を語ってくれます。
受験勉強を通してささまざまな知識を得ているからこその回答だと感じます。

安定した教育環境もメリット!

志望校、塾な公立校とは異なり、教壇に立つ先生自身がその学校を選んでいるため、 愛校精神が強く、熱心な方が多い印象です。
また、人事異動がなく安定した教育環境といえます。
伝統校では、親子2代で同じ先生に教わ あるということも珍しくありません。
また、学力や家庭 この教育方針が近い生徒が集まるのもメリットといえるかもしれません。
6年間の一貫教育のなかでじっくりと関係を築き上げることで、一生の友だちができる機会も増えるでしょう。

「受験生の親が心がけたいことベスト3」へ続く▶︎

お話を伺ったのは

受験指導専門家 西村 創 (にしむらはじめ)さん

早稲田アカデミー、駿台、河合塾 Wingsなどで指導歴25年以上。
新卒入社の早稲田アカデミーでは入社初年度に生徒授業満足度全講師中1位に輝く。
駿台ではシンガポール校講師を経て、当時初の20代校長として香港校校長を務め、過去最高この合格実績を出す。
河合塾 Wingsでは講師、教室長、エリアマネージャーを務める。
現在はセミナー 講演、書籍執筆などを中心に活動。著書1冊は計15万部、「にしむら先生受験指導専門家」としYouTube配信中(チャンネル登録者数約8万人)。