【2026先生インタビュー】東京農業大学第一高等学校・中等部が大切にする「知耕実学」と、未来に向けた新たな取り組み

明治期の政治家・榎本武揚が設立した徳川育英会の育英黌農業科をルーツにもつ東京農業大学に隣接する、東京農業大学第一高等学校・中等部。
教育理念は、本物に触れる「知耕実学」です。豊かな自然を擁する同校では、生徒がさまざまな実学を通して自らの“知の土壌”を耕し続けています。
入試広報部部長の赤井郷巳先生に、教育の特長や学校の未来についてお話を伺いました。

東京農業大学第一高等学校・中等部

入試広報部 部長 赤井 郷巳 先生

2026年秋、「知耕実学棟」いよいよ本格始動!進化する環境で、学びはさらに深化する。

新たなステージを目指して!
進化する校舎、深化する学び

本校の教育理念は「知耕実学」です。
分かりやすく言えば、「体験などを通じた本物に触れる学び=実学」によって「知」を耕し、科学的思考や論理的思考、そして創造力を育んでいこうということです。
教科書の勉強だけではなく、一つ一つの体験から不思議に思ったことや、発見、驚きのほうこそ大事にしたいと考えています。

東京農業大学第一高等学校・中等部

中等部は週4回ある理科の授業のうち、2~3回が実験や観察に充てられています。教科書を読むだけでなく、実際に手を動かす時間が圧倒的に多いのが特徴です。(東京農業大学第一高等学校・中等部)

例えば理科の授業では実験を多数取り入れており、数学では先生の代わりに生徒がメインになってディスカッションする授業も行われています。社会科では、実際の世田谷区の選挙で使われた候補者のマニフェストを集めて模擬選挙をしたり、家庭科では本格的な調理実習を行ったりしています。

こうした普段のカリキュラムに加え、中1から高1までかけて1人ひとりが自分で選んだ1つのテーマにじっくり取り組む「課題研究発表」や、放課後に開催される自由参加型の「一中一高ゼミ」などを通じて、生徒たちにはさまざまな分野に興味・関心を広げ、見聞や教養を深めてほしいと思っています。

東京農業大学第一高等学校・中等部

2023年に完成した校舎には最新の調理室を完備。この日は高校2年が、ごはんを炊き、昆布だしでお吸い物を作り、キュウリとワカメの酢の物、豚の生姜焼きを作っていました。食への関心も、「実学」で育ちます。(東京農業大学第一高等学校・中等部)

本校で過ごす6年間は、何事も常に五感で体験し、仮説を立て、検証し、考え、判断して、行動・表現する。そのプロセスを繰り返すことこそが、私たちが何よりも大切にしている学びの姿勢です。

本物に触れる学びで五感を研ぎ澄ます

本校の宝物は生徒たちです。中学受験を経て入学した生徒たちを見ていると、みんなそれぞれ頑張って勉強してきたんだな、と感じます。だからこそ入学後は、これまでできなかったことや、これからの6年間でしかできない体験をいっぱいしてもらいたい。そうした思いから、さまざまな行事を通じてたくさんの経験を積んでほしいと考えています。

年間を通して多数の行事があります。体育祭にあたる「Sakura Sports Festival」を間近に控え、グラウンドでは予行練習が行われていました。「絶対勝つぞ!」と、仲間とのきずなが深まります。(東京農業大学第一高等学校・中等部)

例えば、中1では東京農大の所有する田んぼで稲作を体験します。植えるだけではなく雑草取りにも行きますし、最後は収穫して、自宅に持って帰って食べるまでが「稲作」です。

中2になると、東京農大の研究室に行き、大学の教授のもとで古米と新米の鮮度判定をする「お米の科学」という行事があります。中3では「味噌作り」により、発酵の作用を学びます。こうした経験ができるのは、東京農大の併設校ならではの強みだと思います。希望する生徒は、東京農大の授業の一部をオンラインで受けることもできます。

宿泊行事も多数行っています。中学1年の4月には富士の樹海で植物について学び、秋には北海道に行き、新巻鮭を1人1本作って家に送ります。
中3は全員でシンガポール・マレーシアを訪問します。マレーシアでは現地のご家庭で生活や文化に触れるという、貴重な体験ができます。

東京農業大学第一高等学校・中等部

2024年度、高校の募集を停止し、完全中高一貫校となったのを機に、それまで選択制だったシンガポール・マレーシア旅行が、中3全員参加となりました。「少しでも多く現地の方々と交流できるように」との思いから、中学1年、中学2年の夏休み期間に全員参加の英会話プログラムがあります。(東京農業大学第一高等学校・中等部)

ほかにも、オーストラリアでの夏期研修や短期・長期の留学、シアトルで企業を訪問したり現地の大学生と交流したりする「ブレイクスループログラム」など、希望者が参加できる国際教育プログラムも充実しており、さまざまなことに挑戦する生徒を応援しています。

学びが深まる新校舎、いよいよ本格始動!

2026年の秋頃には、順次建設を進めていた新校舎がいよいよ完成します。
3階には生物、化学、中等部専用の理科実験室など複数の実験室を新設。広い廊下には標本などの展示物が並び、まるで博物館のような雰囲気の「SCIENCE STREET」となります。
ワークスペースも完備され、仲間と話し合いながら学びをより深められる環境が整います。

地下には約300人規模のキャパシティをもつ「桜ホール」ができ、これまで大学の講堂を借りて行っていた研究発表会などの一部は、校内で完結できるようになります。

図書館は新校舎の1階に移ります。生徒たちの教室がある従来の校舎から、各種特別教室やラウンジ、購買のある新校舎へ移動する際には、必ず図書館を通る「ウォークスルー型図書館」となるため、すべての生徒がより本に触れる機会が増えると期待しています。

東京農業大学第一高等学校・中等部

ラウンジは生徒たちの憩いの場であると同時に、友だちと話をしながら勉強ができる学びの場でもあります。昼はお弁当を食べたり、部活や行事の会議に使ったり、自習をしたりと、思い思いに活用できるフリースペースです。(東京農業大学第一高等学校・中等部)

新校舎は、すでに2023年から始動している校舎とあわせ、「知耕実学棟」と名付けられました。文字通り、さらに進化した「実学」を体感できる場としてフルに活用し、生徒たちには新たなステージに踏み出してほしいと願っています。

お話を伺ったのは

東京農業大学第一高等学校・中等部 入試広報部 部長 赤井 郷巳 先生