1946年の創立以来、カトリックの教えに基づき、自分と他者を大切にする心と真の教養を育むことを教育理念に掲げてきた聖園女学院。きめ細かな学習支援や国際教育にも力を入れ、生徒一人一人の成長を手厚くサポートします。
課題解決力を育む探究的な学習にも注力し、近年は特にユニークな取り組みが行われています。中学の総合的な学習、高校の探究学習について、教頭の鹿野直美先生にお話をうかがいました。

「探究学習において、社会とのつながりをより一層強化したいとの思いから、専門企業と連携した取り組みを進めています」と教頭の鹿野直美先生。(聖園女学院中学校・高等学校)
「社会実装」を重視した、
オリジナルの探究学習プログラム
聖園女学院では、学年に応じた総合的な学習と探究に取り組んでいます。ひとつのテーマに対し、調べて、考えて、まとめて、発表をするという一連の学びにより、課題解決力を身につけ、誰かのため、社会のために自分ができることを見つけていく。まさに、同校の教育理念である「自分の使命を見つける学び」を具現化した取り組みです。
2024年度から「社会とつながる部分をさらに強化したい」と、探究学習専門企業との連携を開始。現在、中学1年~高校1年で「ミエタンプログラム」と名付けられたユニークな学びが展開されています。
中学1年では、まず探究活動の基礎を学ぶため、学校周辺の身近な地域でフィールドワークを行い、「隠れたタカラ」を探し出します。そして、その魅力をどのように伝えるかを考えながら、表現方法について学びます。

中学1年は「学校地域の隠れた”タカラ”の探し方・届け方」をテーマに、3コースに分かれ、フィールドワークを実施。写真は通学路の途中にある白旗神社を訪問し、伝承に耳を傾ける生徒たち。(聖園女学院中学校・高等学校)
中学2年では、「地域の資源と人とのつながりを活かした『自分たちの住みたいまち』」をテーマに探究学習を行います。フィールドワークの舞台は神奈川県南西部の真鶴町。コミュニティセンターや地域包括支援センターなど、地域活性化に取り組む方々を訪問し、「居場所」や「他者とのつながり」について考えを深めます。
後日、訪問先のコミュニティセンターから「聖園生の声を参考に『中学生の居場所』を開設しました」と嬉しい報告が届きました。

聖園生の声(コミックやフリーWi-Fiなど)を参考に誕生した中学生の居場所。地域の憩いの場として活用されています。
(聖園女学院中学校・高等学校)
「回したくなるガチャガチャ」を中学3年が企画
中学3年が挑戦するテーマは、「カプセルトイ商品の企画・開発」です。生徒たちにとって、普段は「消費者」として身近なカプセルトイを、「生産者」の視点から考えます。
まずはカプセルトイを販売している企業についてリサーチし、自分たちがほしいと思う商品をグループごとに話し合います。そして、人気の商品はなぜ売れているのかなどを考察します。
さらに、おもちゃクリエイターとして第一線で活躍する高橋晋平さんにお話を直接伺い、さまざまなアドバイスをもらいます。商品コンセプトが定まったら、製作スタート。安全性やSDGsも意識しながら作業を進めていきます。
商品の魅力を伝えるPOPのデザインや、キャッチコピーを考えるのも生徒たち自身です。こうして完成したカプセルトイは、実際に聖園祭(文化祭)で販売され、売り上げは慈善団体へ寄付されました。

中学3年は、生産者の視点からカプセルトイ商品を企画・開発。聖園祭で販売したところ、何回もガチャガチャを回しに来てくれた来場者の方もいたそう。
(聖園女学院中学校・高等学校)
パッケージデザインを通して
世界との関わりを実感
高校1年は、「つくる人・つかう人の暮らしを豊かに」をテーマに、インド産フェアトレードチョコレートのパッケージデザインを提案しました。チョコレートを販売する企業の代表取締役である伊達文香さんに、インドからZoomで作り手や現地で暮らす人々の思いを聞き、副代表の杉川幸太さんからはチョコレートの作り方などを学びました。
また、店舗プロデュースやデザイン制作を行う企業の代表、すみかずきさんを学校に招き、デザインについての実践的なアドバイスをもらいました。こうした過程を経て、グループごとにさまざまな工夫を凝らしたオリジナルパッケージが完成。
協力してくださった講師の方々の前でプレゼンテーションを行い、代表として選ばれた作品が商品化され、12月の同校のクリスマス行事の際にチャリティー販売されました。


高校1年は、インド産フェアトレードチョコレートのパッケージをデザイン。インドの木彫りスタンプやカカオ豆の皮を使ったデザインが商品化され、クリスマスに学校でチャリティー販売が行われました。(聖園女学院中学校・高等学校)
生徒からは、「誰に何を伝えたいのか、どう表現するのか。それを考えるために、インドのことやカカオ豆のことについてものすごく深く調べました。何もないところからデザインを創り上げるのは難しかったですが、とてもやりがいがありました。実際に商品を購入してくださったみなさんから、“素敵なパッケージで、家族や友人に贈りたい”と言ってもらえたのも嬉しかったです」との声が聞かれました。
「社会とつながる、世界とつながるこうした探究の取り組みは、生徒たちにとって新たな刺激になっていると思います」と教頭の鹿野直美先生。「専門企業と連携したことにより、私たち教師だけでなく、より広く実社会で活躍するさまざまなプロフェッショナルの方々との出逢いが可能になったことは、生徒たちの大きな力になると確信しています」。
