海洋教育を通して身につける 「開物成務」の精神

▲高校ヨット部は全国大会常連の強豪|逗子開成中学校・高等学校

遠泳とヨット帆走実習で育む
健全な肉体と諦めない精神

逗子開成では海が目の前という立地を最大限に活用し、1903年の開校当初からの遠泳に加えて、1986年の学校改革を機に、OPヨットの製作と帆走実習も取り入れた海洋人間学をスタートしました。健全な心身と校名の由来にもなっている「開物成務」の精神を育成しています。

屋外でも水温を28度まで上げることができる温水プールで5月から10月まで、最大週に4時間行われる水泳の授業で練習を繰り返し、中3の遠泳実習では全員が1500mを完泳。仲間と隊列をなし、お互いに声をかけ、励まし合いながら泳ぎ切ることで、諦めない心や協調性、健やかな体を育みます。

▲東大の先生やJAMSTEC のスタッフを招いて行われる海洋学特別講義|逗子開成中学校・高等学校

また、中1の技術の授業でヨットが進む原理を学び、7~8人のグループで自分たちが乗るヨットを製作します。そして中1の秋から中3の春まで計4回、帆走実習に臨みます。

最初は思うように進まず苦戦を強いられますが、学年を重ねるごとに乗りこなせるようになり、生徒たちは自然と状況判断力ややり抜く力を身につけます。

▲中3生全員が赤い海水パンツで1500m の遠泳に臨みます|逗子開成中学校・高等学校

 海から得た「気付き」を
より深める海洋特別講義

▲教室にライフジャケットがある光景は逗子開成ならでは|逗子開成中学校・高等学校

遠泳やヨットの帆走実習で実際に海に触れるなかで、我々教員は生徒の心と体が鍛えられていることを感じていました。しかし生徒の感想文を読んでいると、「沖から見た陸の景色に感動した」「仲間との協力でゴールできた」など、私たちの想像をはるかに上回る「気付き」を得ていることが分かりました。

そこでより豊かな人間形成のためには海洋教育カリキュラムの再構築が必要と考え、2014年に東京大学大学院教育学研究科附属海洋教育センターと連携協定を結び、「海洋学特別講義」を開始しました。

中学生を対象に、海についての知識や教養を深めることを目的に、東大の先生をお招きして、ウナギの回遊の謎や深層海流についてなどの特別講義を実施。質疑応答ではたくさんの手があがり、講義後も先生の前に生徒の長蛇の列ができることから、講義の内容がいかに生徒の知的好奇心を刺激しているかを実感します。

▲夏休みには希望者を募り、東大の研究施設への見学会も開催します|逗子開成中学校・高等学校

中には講義内容の学びをより深めようと、自主的に研究グループを立ち上げた生徒もいます。東大の先生方のアドバイスを受けながら、海流や生物、津波など、各自が興味をもったテーマを研究し、その成果は東大主催の「海洋サミット」や「日本地球惑星科学連合会」で発表するなど、学校外で評価を得る機会にもなっており、それが生徒たちの自信につながっています。

こうした経験をきっかけに、海の学びをもっと深めたいと東大や東京海洋大を進路に選ぶ生徒も増えており、この先がとても楽しみです。

お話を伺ったのは

逗子開成中学校・高等学校 中高一貫校 男子校

校長 高橋 純先生

上智大学理工学部物理学科を卒業後、一般企業に勤務。茨城県の私立中高一貫校、逗子開成で教壇に立ち、2012年より現職。専門教科は理科。

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