お口まわりの筋力が不足して、お口をぽかんと開けたままにしている子どもが増加している傾向があります。
原因や鼻呼吸によるリスク、トレーニング方法について、はるまちざか歯科・矯正歯科(川崎市宮前区)の先生にお話しを聞きました。
「お口ぽかん」の原因は
鼻炎や離乳食進め方による場合も
生まれたばかりの赤ちゃんは基本的に鼻呼吸です。それは、おっぱいやミルクを飲むときに口がふさがると鼻でしか息ができないからです。
でも、成長と共に、‶良くない癖″として、お口をぽかんと開けたままにしている子どもが見られるようになります。
口の力を抜いている状態が楽なので、それが身についてしまっているのです。このような、お口まわりの筋力が不足した子どもは年々増加している傾向があります。
原因はさまざまですが、まず一つには、アレルギー性鼻炎や慢性鼻炎のために、鼻で息ができず、口呼吸となってしまっているケースが挙げられます。これは早急に耳鼻科で診てもらうようにしてください。まずきちんと鼻呼吸ができる状態でなければ始まりません。そして、自分で鼻をかめるようになることも大切です。小学校にあがる前にはできるように練習しましょう。
食事のとり方ももちろん大きく関係します。離乳食の手引きなどで、何カ月になったらこういう形態の食事を、という指針がありますが、月齢というよりお子さんの成長をよく確認しながら行ってください。
まだよく噛めないのに固形のものを与えた場合、食べ物をよく噛まずに飲み込んでしまう習慣にもつながりなりかねません。
離乳食は「口に運んだ食べ物を、口を閉じて咀嚼し、飲み込む」ことがきちんとできるようなるための練習でもあると認識しておきましょう。
「お口ぽかん」の弊害は、実はかなり重大!
お口ぽかんは、まさに口呼吸をしている状態。口腔内のほかにもさまざまなトラブルの原因になります。
- 舌の動きがあまりよくないために発音がうまくできない。
- 口呼吸になり空気中の細菌やウィルスをダイレクトに体内へ入れてしまうことになるため、風邪をひきやすくなる。
- 体に入る酸素量が少なくなるため、集中力の低下を招く。
- 口の中が乾燥しやすくなるので、虫歯になったり息が臭くなったりする。
- 歯並びが悪くなり、ガタガタの歯になったり奥歯が歪んで生えてきたりすることもある。
最近はお子さんの歯並びを気にされる家庭も多いのですが、矯正治療は小学生に入ってからしかできませんし、時間もかかって負担も大きいものです。
幼児期に「口をしっかり閉じる」「よく噛んで食べる」といった正しい口の機能を獲得しておくことは、きれいな歯並びへの近道でもあります。また、大きくなってから矯正したとしても、その癖が残っていると元の状態に戻りやすいものです。
できるだけ早い時期に舌の正しい位置や舌への力の入れ方を覚えることが肝心です。
Q.病院ではどんな治療をするの?
まずは小児歯科の歯医者さんや、虫歯治療だけでなくお口の機能や発達についてもしっかり診てくれる歯医者さんでの受診をおすすめします。一朝一夕で効果が出るものではないので、何が原因でどういうトレーニングをしたらいいのかを相談しながら、継続してトレーニングを進めます。
いろいろな器具を使うこともありますが、例えばこのような感じのトレーニングをします。
「お口ぽかん」のトレーニング方法
- 上あごに舌をつける。
- 舌をさらに上あごにはりつけるようにグッと持ち上げて離す(このとき音が鳴る)。
- 数回繰り返す。
【動画】「お口ぽかん」のトレーニング方法
お口周りの筋肉を鍛え、正しく舌を使えるようになることで、お口から健康を守りましょう。