即位に隠された真実のストーリー
『英国王のスピーチ』
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前英国王ジョージ六世とオーストラリア人の言語療法士ローグとの交流を描いた、実話に基づく物語である。
ジョージ六世は今のエリザベス女王のお父上、ということぐらいしか知らなかったが、この映画を観て初めてわかった。彼はシンプソン夫人との『王冠を賭けた恋』で国王の座を降りちゃったエドワード八世の代わりに王座へと上った、弟の王子様だったのだ。
世の中に、これほどの番狂わせがあるだろうか。国王になるべく育てられた華やかな兄の陰でひっそりと生きてきた吃音症の弟が、兄の道ならぬ恋の後始末のために突然王座につく羽目になろうとは。
映画のクライマックスは、国王となったジョージ六世が国民に向けナチスドイツとの開戦を告げるスピーチを行うシーンである。彼が一国の王としての重責と吃音症のコンプレックスに正面から立ち向かう姿は、見る者に静かな感動と力強さを与えた。
さて我が国の新天皇は、今、何を考えその重責を背負おうとしているのだろう。彼のスピーチが、いつも平和のためのものとなるように。それを実現させるのは、我々国民の永遠の務めだ。