内閣府によると、
「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会(Society)。狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画において我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱されました」とあります。日本のロボティクス教育の第一人者である相模女子大学小学部校長・川原田先生にわかりやすく解説していただきました。
■お話■
相模女子大学小学部
新校長 川原田康文先生
現代はすでにソサエティ5.0なのでしょうか?
現代は、ソサエティ4.0です。通信技術の発達とデータ処理能力が向上したことで、新たな仕事が生み出され、巷にはさまざまな情報が溢れました。しかし、ビッグデータとして社会全体での共有がされていないため、必要な情報を集めることができません。
ソサエティ5.0では、IOTがさらに進みます。社会の中のさまざまなものがインターネットとつながり、その情報量が飛躍的に増加し、人間の力では処理しきれない部分が大きくなるので人工知能(AI)の活用が一層進みます。そうなると、例えば、先に述べたビッグデータも大いに活用できるようになるわけです。
また、生産工場などでは自動運転やオートメーション化、そして情報と技術の融合によって、現代の問題点を効率的に解決しようという動きが加速化されていきます。さらに、公害や食糧、エネルギーなどの環境的な問題についても、AIとビッグデータの活用によって、適切な解釈と対処法が検討できるようになるはずです。
私たちの生活のなかでも、ソサエティ5.0を感じるシーンはあるのでしょうか。
もちろん、たくさんあると思います。たとえば、東京五輪は、5Gによって自分が見たい角度から見ることができると謳っていました。そういえば昔、レーザーディスクが出始めたとき、同じようなことが宣伝で言われていました。
例えば、仏像の動画を見るとき、レーザーディスクなら仏像の頭の上や背面など、自分が見たい角度から見ることができると言われていましたが、実際はそうではありませんでした。しかし、東京五輪はそれが本当に可能になります。
サッカーの試合をキーパーの後ろやコーナーキックのポジションなど、見たいところから見られるようになるはずです。すでに始まっていることもあります。たとえば、横須賀でおこなわれているドローンを使った宅配です。山坂が多く、道幅が狭い地域でも、人の手を介さずに荷物を運ぶことができますから、社会問題ともなっている高齢者問題の解決の一助にもつながります。
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