【2026玉川学園小学部の学び】自ら学ぶ力を育む教育。五感で触れるホンモノの自然体験。

玉川学園小学部の自然活動:ヒノキの皮剥ぎ

自分の背よりもずっと長い!ヒノキの皮剥ぎに夢中になる1年生の子どもたち(玉川学園小学部)

玉川学園小学部の1年生が、毎回心待ちにしている活動「丘めぐり」。緑豊かな環境を生かし、森を散策しながら、日常の中で自然を体験する伝統的な活動です。

今年度はこの「丘めぐり」と、全学園で推進される「Tamagawa Mokurin Project」が連携。「自然」という生きた教科書から、子どもたちは何を学び取っているのでしょうか。1年生学年主任および総合科主任廻谷先生と、1年あやめ組担任の伊藤先生にお話をうかがいました。

玉川学園小学部の先生たち

(左から)伊藤 真由美先生、廻谷 美和先生(玉川学園小学部)

大きなヒノキの皮剥ぎに挑戦!五感で触れる「ホンモノ」の体験が育む学びへの意欲

玉川学園の伝統的な活動「丘めぐり」も1年生にとっては大冒険です。

プロジェクトの舞台は、キャンパスの奥に広がる豊かな森。4月の「丘めぐり」から始まります。「入学間もない1年生にとって、小さな足で20分以上の急勾配を登り切ることは、それ自体が大冒険なんです」と廻谷先生は笑顔で語ります。

たどり着いたヒノキ林で行うのが、立ち木の皮を自分たちの手で剥いでいく「剥皮間伐(はくひかんばつ)」。
「自分の背丈の倍以上もある長い皮が、スルスル、バリバリっと剥けていく。その瞬間の子どもたちの驚きと喜びの表情は、今でも目に焼き付いています」。

担任の伊藤先生は、その時の子どもたちの瑞々しい感性を大切に拾いあげます。
「子どもたちは皮を触って『いい香りがする!』と喜び、中には『舐めたら甘い気がする』なんて言う子も。こうした理屈抜きの感動こそが、次の『これを使って何かしてみたい!』という意欲の源になるのです」。

子どもたちの好奇心に寄り添う「寄り道」が生きた学びに

ヒノキの皮で染めたランチョンマット作り(玉川学園小学部)

ヒノキの皮で染めた世界で一つのランチョンマットを手に笑みがこぼれます。(玉川学園小学部)

「この皮を煮詰めたら、いい香りがするかも」という発想から1年生の全クラスで草木染めに挑戦。実際に鍋でグツグツと煮出し、さらにその抽出液を使うことにしました。教室いっぱいに森の香りが立ち込める中、丁寧に染め上げられたランチョンマットは、子どもたちの宝物となりました。

「このプロジェクトの醍醐味は、クラスごとに活動の内容が全く異なる点にあります。担任がゴールを決めすぎず、子どもの興味に合わせて活動が『枝分かれ』していくんです」と廻谷先生。

伊藤先生が担任を務めるあやめ組では、入学の時に飾っていた花束をきっかけに、「ドライフラワー熱」が一年中続きました。「『なぜこの花は枯れないの?』という疑問から、丘めぐりで摘んだ草花で実験を繰り返して。失敗もしながら、最後は伐採したヒマラヤスギのスライスに、自分たちの手で作ったドライフラワーを飾り付けました」。

伐採したヒマラヤスギで作る作品(玉川学園小学部)

伐採したヒマラヤスギのスライスに自作のドライフラワーを飾って思い出の作品に(玉川学園小学部)

また、別のクラスでは、間伐の最中に出会ったヘビを飼育することに。エサのオタマジャクシを何匹食べたかを数えるうちに、教室では「生きた引き算」の学習が自然と始まりました。

誰かに与えられる知識ではなく、自分たちが「知りたい、やりたい」と寄り道した先にこそ、生きた学びが宿っているのです。

子どもたちが自ら発見!この瞬間が学びへの第一歩

玉川学園小学部の算数の時間

リースの創作から、図形の性質を学ぶ算数へ発展(玉川学園小学部)

「遊び」が「学び」に変わる魔法の瞬間。伊藤先生が教えてくれたのは、リース作りの中で起きた、ある「大発見」のエピソードです。
「枝を三角形に組むと動かないのに、四角形だとグラグラする……」。不思議そうに首をかしげる子どもたちと一緒に算数の教具で検証してみると、彼らは自ら「3点で支えると安定するんだ!」という答えにたどり着きました。

枝の長さを工夫して形を作る試行錯誤は、まさに図形学習の原点。その気づきは「土器の脚」や「三点倒立」など、身の回りの話題へと一気に広がっていきました。

「今は『なんとなく』の理解で十分なんです」と伊藤先生。

「数年後の教室で、図形に触れたとき、指先に残る枝の感触とともに『あの時のことだ!』と記憶が繋がる。その瞬間のために、今は自然の中で心を動かす体験を積み重ねています」。

さらに「庭の柚子を食べたい!」という声が上がれば、大学の施設(フードサイエンスホール)へ。専門家の知恵を借りながらのドライフルーツ作りへと発展します。

「どうすれば美味しく食べられるかな?と疑問がわいたとき、すぐに大学の先生に相談に行ける。こうしたワンキャンパスの環境が、子どもたちの『知りたい』という気持ちをさらに大きく膨らませてくれるのだと感じています」と廻谷先生は語ります。

伐採から植樹へ。1年間の活動を通して体験する命のバトン

玉川学園小学部の先生たち

1年間のプロジェクトを振り返り、自然と笑顔になる先生方(玉川学園小学部)

そして活動の締めくくりは、次代へと繋ぐ「植樹」です。「はじめは木を切ることに寂しさを募らせていた子も、自分たちの手で苗木を植えることで、森の命が循環していることを肌で感じ取ってくれ、安心した表情を見せてくれました」と廻谷先生。

「来年はまた白紙の状態から、新しい1年生と新しい『寄り道』を探していきます」と微笑む先生方。
「玉川の丘で、思い切り『寄り道』をして未知なる道を歩んだ子どもたち。その足跡は、子どもたちの心にしっかりと刻まれ、自らの道を切り拓く力となっていくと確信しています」。

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