
学園理念である「自ら考え 判断し 行動できる子どもたち」の育成のもと、変化の激しい社会を生き抜く力を育む桐蔭学園小学校。同校が強みとする「アクティブラーニング型授業」は、すべての子どもを「未来のリーダー」へと導くための実践的な学びです。
小学校で研究主幹を務める岩井智宏先生を訪ね、日々の授業を通じて育まれる力についてお話をうかがいました。

桐蔭学園小学校の岩井 智宏先生
身体を動かすことで「思考」を動かす。本質的なアクティブラーニングを実践

ゲーム感覚で音楽の構造を体感する授業を、子どもたちも思い切り楽しみます。(桐蔭学園小学校)
きれいな歌声が響く教室に一歩足を踏み入れると、予想外の光景に思わず目を見張りました。子どもたちは合唱しながらも、なにやら楽しそうなゲームの真っ最中。先生もまた、子どもたちの間を軽やかに動き回りながら、熱のこもった声をかけています。
そんな活気あふれる授業を担当するのが、研究主幹を務める岩井先生です。常に意識しているのは、思考を動かすために身体も動かすこと。「楽譜を見て頭だけで理解しようとするのではなく、まずは身体でまるごと体感してみる。それが、深い学びへの扉を開く鍵になるんです」と語ります。
例えば、「ほたるこい」の二部合唱では、同じ旋律を歌うときは友だちとタッチし、ハモる場面ではパっと離れる。この動きを取り入れることで、「今は音が重なっているんだな」「ここは違う音なんだ」と、音楽の構造を感覚的、かつ客観的に理解していきます。

歌いながらタッチしたり立ち上がったり。合唱と身体感覚を同時に行うことで、音楽への理解が深まります。(桐蔭学園小学校)
この授業で育まれるのは、歌のスキルだけではありません。「自分の役割を理解して行動し、さらに相手の動きも汲み取って合わせていく。そのプロセスを通じて、他者を理解し、手を取り合ってひとつのものを作り上げる力が自然と養われていきます」と岩井先生。
「仲間と関わることで自分にはなかった発想に出会える。『みんなと一緒に学べた!』という手応えが、子どもたちの確かな自信に繋がっています」。
「あなたはどう思う?」常に問いかけ、子どもたちを学びの主役に

先生からの問いかけにひとりが反応すると、周囲の子どもたちからも次々と反応が生まれていきます。(桐蔭学園小学校)
日々の教室で岩井先生が何よりも大切にしているのは、教員がすべてを決めたり、教え込んだりしないこと。「現代はもう『言われたことをやる時代』ではありません。教員は、子どもたちに常に『あなたはどう思う?』と問いかけるファシリテーター(進行役)に徹しています。自分で課題を見つけて解決する経験こそが、真の学びだと考えているからです」。
例えば、音の強弱を学ぶ「ほたる探しゲーム」。鬼が「ほたる役」の子に近づくと歌声を大きく、離れると小さく。当ててほしくて夢中で歌ううちに、子どもたちは「小さな声でもしっかり響かせる」という、高度な技術をいつの間にか自分のものにしていきます。
そんな時間を過ごしていると、子どもたちのほうから「次はもっと難しいことをやりたい!」と次々に欲求が溢れ出してくるといいます。「私はその表情や空気を感じ取りながら、答えを引き出すお手伝いをしているに過ぎません。『できた!』という実感が、次の『もっと!』に繋がっていく。そんな子どもたちを全力で応援しています」。
「社会に出るためのトレーニング」アクティブラーニング型授業を支える教員同士の学び

ピアノを弾き、子どもたちに問いかけ、駆け回る。岩井先生の授業に「座る暇」はありません。。(桐蔭学園小学校)
「音楽の授業を通して、社会で必要となる力を育てたい」。これが岩井先生の教育の根幹です。仲間と声を重ね、一人ひとりの感性を活かしながらひとつの形にする。
「実はこれ、社会の縮図そのものなんです」と岩井先生。音楽という教科を通じて、他者と協力し、自分らしく輝く『社会で生きるためのトレーニング』をしていると言います。
この学びの質を高めているのが、先生同士の絶え間ない研鑽です。週に一度、教科の枠を超えて先生が集まり、「子どもたちが本当に深く学べる課題」について研究を重ねています。先生による指導のバラつきを防ぎ、どのクラスでも質の高い授業が行われることを目指しているといいます。
「教員もひとりでスキルアップするわけではありません。教科を超えて一丸となり、学校全体の学びをアップデートし続けていきます」。
そんな先生方の真摯な姿勢が、桐蔭学園小学校の豊かな教育を支えています。