明治・大正時代に世界へのかけ橋として尽力した新渡戸稲造博士らの精神を継承する「新渡戸文化小学校」。掲げるのは、利他の精神をもって、自分と周りの幸せをつくる人「Happiness Creator」の育成です。
「どの子も、わが子」という温かな眼差しに包まれ、のびのびと個性を伸ばす子どもたち。今春、卒業を控えた6年生の女の子のお母さまお2人に、6年間の歩みと学校の魅力を語り合っていただきました。
子どもたちの「やってみたい!」を尊重し、成長を後押し
Uさん:
学校説明会で、校長先生が「先生が課題を与えるのではなく、子どもが自分で考える学校です」とお話しされていたのに魅かれ、娘を入学させました。
その言葉通り、子どもたちの「やってみたい!」を尊重し、応援してくださる校風を様々な場面で実感してきました。
Iさん:
本当にそうですね。Uさんとうちの娘は1年生の時に同じクラスでしたが、「ダンゴ虫プロジェクト」は今でも忘れられない思い出です。
ある時、子どもたちが「ダンゴ虫を飼いたい!」と言い出して、先生は止めるどころか一緒に盛り上がってくださって。「じゃあ、とことんダンゴ虫を追求してみよう!」ということになり、「ダンゴ虫プロジェクト」がスタート。虫かごを用意して土や水を入れ、どんな環境やえさがいいかみんなで調べ、子どもたちなりに協力して頑張っていましたね。

「ダンゴ虫プロジェクト」新渡戸文化小学校
Uさん:
そうこうしているうちに大型連休目前に。「誰か持って帰らないとダンゴ虫が死んじゃう…」ということになりました。そこで娘が手を挙げ、わが家でダンゴ虫を迎えることに。
でも・・・実は娘は虫が大の苦手なんです(笑)。私も「えーっ!」って驚きましたが、その時、「私、ちょっと頑張ってみるわ」と。娘の覚悟めいたものを感じました(笑)。小さなことですが、娘なりに1つステージを越えようとしていたようです。
Iさん:
先生が否定せず、信じて見守ってくれる。その安心感が自信となり、自己肯定感を高めていくんでしょうね。
答えのない問いに挑む「新渡戸祭」の熱気
Uさん:
その自分らしさが最も輝くのが、9月の「新渡戸祭」です。本校が大切にしている「答えのない学び」を探究する「プロジェクト型」学習の集大成。クラスや教科ごとの展示のほかに、昨年の5年生は「自分らしさ」をテーマに、個人ブースを作りました。

「新渡戸祭」新渡戸文化小学校
好きなバレエや歌を披露する子がいたり、サッカーの試合でもらったトロフィーを飾る子がいたり。みんな、自分が頑張っていることや自信を持っていることを表現し、「自分らしさ」を見せてくれました。
Iさん:
印象的だったのは、発表や展示の合い間に設けられた「対話の時間」です。「自分らしさって何だろう?」という、大人でも答えに窮するテーマを子どもたちだけでディスカッションしていて・・・。「好きなことをしている時」「夢中で踊っている時」と発言は様々。

「対話の時間」新渡戸文化小学校
そうした答えのない問いについて、子どもたちだけで真剣に話し合い、まとめられたことに驚きました。もちろん、先生方は黙って見守るのみ。主体的に考え、行動する「新渡戸文化」の教育がしっかり身に付いていることを確信して、胸が熱くなりましたね。
「家族のようなまなざし」が支える、世界への挑戦と学校改革
Iさん:
先生方は学校生活だけでなく、子どもたち一人一人の人生に寄り添ってくださいます。わが家は将来の選択肢を広げるために留学も検討しているので、4年生の夏には、学校で紹介されたマレーシアの学校へ短期留学しました。

マレーシアの学校へ短期留学「新渡戸文化小学校」
4年生で海外に送り出すのは勇気がいりましたが、先生が現地を視察され、状況を共有してくださっていたので安心できました。多少のホームシックはあったようですが、異国で過ごした3週間は、娘にとって大きな自信になったようです。
先生方は本当に家族のように親身になってくださるのでありがたいですね。
Uさん:
「児童の声に耳を傾け、よりよい学校にしていこう!」。そんな校風の表れとして、「全校ミーティング」があります。児童が主体となって学校のルールや問題について話し合い、全校での話し合いを経て民主的に決めていく取り組みです。
「自分たちの声で、未来はよりよいものに変えられるんだ!」
そう言って目を輝かせた小学3年生の娘の姿が、今も心に残っています。
当時の学校は「4年生まではランドセル、5年生からリュックも可」という規則。でも、軽くて荷物がたくさん入るリュックは、4年生にとっても使いやすいはず――そう考えた娘たちは、4年生からのリュック登校を提案したのです。

「ランドセル」の学校のルールや問題について話し合い、全校での話し合いを経て民主的に決めていく取り組みました(新渡戸文化小学校)
この提案に、学校全体が動きました。各クラスで議論が重ねられ、高学年の児童は「4年生以上の平均身長なら、リュックでも安全に通学できる」という根拠をリサーチ。全員での試着も行い、ついに規則の改定が実現したのです。
子どもたちの主体性と行動力が、学校の未来を塗り替えた瞬間でした。
そんな成功体験を積み重ねられた6年間は、一生の財産になると思います。