舌には本来お口の中であるべき居場所がある
歯並びを育てる食事を意識しましょう
最近の子どもは親御さんの意識も高く、歯磨きやフッ素など虫歯になりにくい予防法や習慣をしっかり身につけているため、虫歯になる子は少数派になっています。その反面、大人になるまでに何らかの矯正治療が必要となる子は75%を超えると言われています。これは、虫歯に対する知識に比べて、正しい歯並びへ導く方法をほとんどのお母さんが知らないからです。
歯並びは遺伝だからしょうがない、と思い込んでいませんか? 実は遺伝によって歯並びが悪くなるのは30%程度で、多くは姿勢や習慣など環境的なものが要因となっているのです。
正しい歯並びは、頬、舌などのお口のまわりの筋肉の力が内側からと外側から、均等に歯にかかることによって育てられます。いま、舌の先はお口のどこに当たっていますか? 上の前歯の真ん中の、ちょうど裏側に当たっていますか? 普段意識していなくても、舌には本来あるべき正しい居場所があり、そこに定着していないと歯並びが悪くなる原因になります。
指しゃぶりをしたり、飲み込むときに舌を出す癖や、お口をポカンと開ける癖があったりすると、舌が歯に正しい力をかけることができなくなり、歯並びが悪くなってしまいます。
また、生え変わる乳歯の間は、歯並びを気にしなくていいと思っていませんか? 乳歯列の時期にしっかり顎の骨を育てる環境を作ること。これが正しい歯並びを育てるカギです。
近年は子どもの食生活が欧米化し、ミートボールや麺類などあまりかまなくても食べられるものが好まれる傾向にあります。かむ回数が減ると、顎の骨はきちんと育ってくれません。顎の骨をしっかり育て、のちに生え変わる永久歯を正しい位置へと導くために、まずはしっかりとかみ応えのある食事を心がけましょう。これは前歯が生えだした離乳食期から始まっています。前歯でかじりとり、奥歯ですりつぶす。おすすめの食べ物はトウモロコシやリンゴです。この毎日の「しっかりかんで食べる」作業で顎は日々成長していくのです。
歯並びの積極的な治療は多くの場合、前歯が生え変わる7歳以降から始めることが多いですが、前述した通り歯並びが悪くなるのには多くの場合、理由があります。歯並びが悪くなる前兆を早期に発見し、その要因を取り除いておくためには、お子さんが小さいころから顎の発育の経過を診てもらうことが大切です。
歯並びも「予防」の時代です。ぜひお母さんが正しい知識と習慣を心がけて、子どもたちの歯の未来を育てていきましょう。
当院には日本離乳食・小児食育学会の認定医および認定衛生士がいるほか、予防歯科セミナーの開催(無料・オンライン)も行っています。赤ちゃんやお子さんの歯で悩みがある方は、まずはご相談ください。
お話
まつおか歯科医院
副院長 松岡夏紀先生