【2026校長インタビュー】大切なのは「どう生きたいか」。進学実績が向上し続ける桐蔭学園中等教育学校のビジョンとは?

「自ら考え 判断し 行動できる」という教育ビジョンを掲げる桐蔭学園中等教育学校は、横浜市青葉区の豊かな自然に囲まれたキャンパスで、中高6年間の完全一貫教育を行っています。

伝統校ながらも早くから「アクティブ・ラーニング型授業」や「探究学習」を導入し、大学受験をゴールとせず、その先の人生を自分らしくたくましく生き抜く力を育んできました。

今回は、時代が変わっても揺るがない教育の軸と、「AI教育」や「里山プロジェクト」という新たな挑戦について、校長の玉田裕之先生にお話を伺いました。

桐蔭学園中等教育学校 校長 玉田 裕之 先生

桐蔭学園中等教育学校 校長 玉田 裕之 先生

大切なのは「どう生きたいか」。
桐蔭が大切にする学びの軸

私たちはこれまで、「アクティブ・ラーニング型授業」「探究(未来への扉)」「キャリア教育」という3つの柱を連動させ、生徒が主役となる学校づくりを進めてきました。日々の「アクティブ・ラーニング型授業」では、教員による講義のあと、仲間と話し合い、考えを共有し合う「協働」の時間を何より大切にしています。

また、朝のホームルームでは、毎日1人が「将来の夢」や「今いちばん興味があること」を発表する「1分間スピーチ」を行っています。発表者にはクラス全員からメッセージカードが届き、自身のスピーチをふり返ることで、自分自身と向き合い、内面にあるものを素直に発信していく力を身につけていきます。

仲間とアイデアを出し合い、学びを深めるアクティブ・ラーニング型授業。教室内には笑顔と活発な対話があふれています。

探究学習の「未来への扉」では、1年生で自分の興味をテーマにし、2年生で地域の課題に取り組み、3年生では世界に目を向け「模擬国連」活動に取り組みます。
自分の身の回りからグローバルな課題へと視野を広げてきた生徒たちは、4年生になると「自分はどうありたいか」という本質的な問いに向き合っていきます。

自分の人生を自分で探し出す
「プレゼン型三者面談」

自分の考えを発信する力をしっかりと身につけた5年生の3学期に行われるのが、「プレゼン型三者面談」です。一般的な三者面談は教員が主導し、成績の話を中心に行われますが、本校では生徒自身が主役を務めます。

「将来、自分は社会のなかでどうありたいか」を出発点に、「そのために何を、どの大学のどの学部で学びたいのか」を、自らの言葉で担任と保護者にプレゼンテーションするのです。その堂々とした姿に私たち教員はいつも心を動かされ、わが子の成長ぶりに感激して涙を流される保護者の方も多くいらっしゃいます。

5年生の3学期に行われる「プレゼン型三者面談」。生徒が主役となって「どう生きたいか」を堂々とプレゼンテーションします。

こうして「学ぶ理由」を自分で見つけた生徒は、受験勉強にも驚くほど主体的に取り組みます。

従来型の受験指導から、生徒主体の学びへと切り替え、大学進学の数値的な目標はあえて設けないようにしていますが、進学実績は向上し続けています。難関大学はもちろん、航空系や獣医系、芸術系にいたるまで、進学先が十人十色なのも、一人ひとりの「どう生きたいか」を応援してきた本校ならではの特徴でしょう。

人生100年時代。
ウェルビーイングにつながるたくさんの体験を

私たちが教育のなかで大切にしているのは「ウェルビーイング」、つまり生徒一人ひとりの持続的な幸福と社会の幸福です。人生100年といわれるこれからの時代、いろいろな世界を知るための「引き出し」を中学生のうちにたくさん持っておくことこそが、その後の人生を豊かにする最高の財産になると考えています。

その引き出しを増やす仕掛けの一つが、放課後の「アフタースクール」です。

ユニークな体験講座が目白押しのアフタースクール。写真はイカの解剖に取り組む生徒たち。ここで見つけた「引き出し」が、やがて探究テーマへと育ちます。

部活動だけでなく、教科の枠を超えたユニークな体験講座がほぼ毎日開かれ、生徒は好きな講座に自由に参加できます。もちろん参加は強制ではないのですが、それでも、教員自身が面白がって取り組む姿に引き寄せられて、生徒たちは自然と集まってくるのです。

こうして広がった興味がきっかけとなり、「探究」のテーマになっていくことも少なくありません。子どもたちが自分自身を見つけるヒントを、こうした日々の環境のなかにたくさん散りばめていきたいと考えています。

「AI教育」と「里山プロジェクト」が
今年度からスタート

そして今年度、新たな試みとして「AI教育」と「里山プロジェクト」という二つの取り組みをスタートさせました。

これからの社会で求められる力の筆頭に「AIをはじめとするテクノロジーの活用」が挙がる現代、本校では1年生からChromebookを導入しています。ただスキルを学ぶだけでなく、全学年の生徒が「AIを使って学習するためのルールづくり」から参加することで、主体的な向き合い方そのものを教育しています。

里山プロジェクトは、AIと表裏一体の発想から生まれたものです。デジタル社会化が進む中だからこそ、実際に土に触れ、五感を使うリアルな体験が不可欠になります。

AIを学びのパートナーに。スキルを習得するだけでなく、自分たちの生活をよりよくするための向き合い方を主体的に学びます。

これまでアフタースクールで展開していた里山での体験を発展させ、机の上では経験できない「手触り感のある学び」を全生徒に届けていきます。現在まさに、生徒たちと一緒に作り上げている最中ですが、ここでの調査研究をもとに「2027年国際園芸博覧会(GREEN×EXPO 2027)」での発表も予定しています。

生徒一人ひとりが自分らしい未来を見つけ、たくましく歩みを進めていけるように。私たちはこれからも生徒主体の豊かな学びを軸に、時代に合わせた新しいチャレンジを続けていきます。

お話を伺ったのは

桐蔭学園中等教育学校 校長 玉田 裕之 先生