海洋人間学で育む豊かな人間力
多彩な海外研修も再開に向けて始動
1986年の中学募集再開を機に、遠泳やOPヨットの制作と帆走、東京大学大学院教育研究科付属海洋教育センターとの連携による海洋教育など、海洋人間学を取り入れていることが大きな特長の逗子開成中学校・高等学校(以下、逗子開成)。遠泳で自信をつけ、OPヨット実習でコミュニケーション能力や協働の大切さを知るなど、豊かな人間性の向上にもつながっています。
海洋教育では物理学や地学、生物学など海を多角的に捉え、専門家の先生を招いて講義を受ける海洋教育人間講座で、「もっと学びたい」という意欲が高まり、自主的に研究発表を行う生徒も。目の前に広がる逗子湾も教場に、学びを深め、自己研鑽に努めています。
コロナ禍で自粛していた海外研修も、状況を見ながら再開する予定です。これまで希望者を対象にカナダでの1年間の留学制度を用意していましたが、生徒と保護者からの要望を受け、カナダ以外の地域やターム留学も実施予定です」と高橋純校長。生徒の「やりたいを全面的に後押しします。
知識の詰め込みだけでなく
アウトプットする場も大切に
海洋人間学と双璧をなす逗子開成の特長的な教育が「人間学」です。これは総合学習で、身のまわりのさまざまな問題に目を向け、その解決策を考えます。日本だけでなく世界に視野を広げるきっかけにもなり、社会貢献できる人材の育成にもつながります。
「これまでの日本の教育はインプット(知識の詰め込み)に時間をかけてきました。これからはアウトプットを大事にすべきで、これには人間学のような、総合学習が最適です。中学の間は『広げる・究める・見つめる』をキーワードに「学び方」を学びます。これで学びの基礎を身につけ、高1で進路探究に取り組み、高2で韓国、マレーシア、ベトナム、オーストラリア、そして沖縄の5コースから選択する研究旅行へ。総合学習の時間に事前学習を行い、現地でさらに学びを深め、その成果を徳間記念ホールで発表します(校長・高橋 純先生)」。
コロナ禍で中止していた土曜講座も再開し、中高の6年間でさまざまなチャレンジの場を生徒たちに提供します。
ビタミンママ編集部の注目ポイント
地域との一体感を大切に 塀がない学校で育むコミュニケーション
逗子開成は地域とのつながりを大切にしています。塀がない学校では体育館の前で近隣の幼稚園児が遊んでいたり、散歩中の方がベンチで休んでいたり。また、吹奏楽部や和太鼓部が地域のイベ
ントに参加し、日頃の練習の成果を披露することも。さらに、生徒の興味を引き出したり、多角的な考え方を育んだりすることを目的とする「土曜講座」も、地域の方々への開講を検討しているそう。「大人になっても勉強したいという方のモチベーションの高さを生徒にも感じてもらいたいと思っています。逗子開成は地域に愛される学校を目指して、これからも地域のみなさんと共に学び、歩んでいきたいと思います(高橋校長)」。