逗子の海を学び場に展開する海洋人間学で 学習意欲と豊かな人間性を育む

逗子開成中学校高等学校

逗子開成中学校・高等学校:神奈川県逗子市

海洋人間学で育む豊かな人間力
多彩な海外研修も再開に向けて始動

1986年の中学募集再開を機に、遠泳やOPヨットの制作と帆走、東京大学大学院教育研究科付属海洋教育センターとの連携による海洋教育など、海洋人間学を取り入れていることが大きな特長の逗子開成中学校・高等学校(以下、逗子開成)。遠泳で自信をつけ、OPヨット実習でコミュニケーション能力や協働の大切さを知るなど、豊かな人間性の向上にもつながっています。

隊列を組んで逗子の海15000mを泳ぎ切る遠泳実習。仲間と励まし合い、支え合い、一人も取り残されることなく、全員が完泳します(左)
中1、中2は水温を28度まで上げられる屋外温水プールで5 〜10 月まで、遠泳に向けて練習します(右)

海洋教育では物理学や地学、生物学など海を多角的に捉え、専門家の先生を招いて講義を受ける海洋教育人間講座で、「もっと学びたい」という意欲が高まり、自主的に研究発表を行う生徒も。目の前に広がる逗子湾も教場に、学びを深め、自己研鑽に努めています。
コロナ禍で自粛していた海外研修も、状況を見ながら再開する予定です。これまで希望者を対象にカナダでの1年間の留学制度を用意していましたが、生徒と保護者からの要望を受け、カナダ以外の地域やターム留学も実施予定です」と高橋純校長。生徒の「やりたいを全面的に後押しします。

知識の詰め込みだけでなく
アウトプットする場も大切に

海洋人間学と双璧をなす逗子開成の特長的な教育が「人間学」です。これは総合学習で、身のまわりのさまざまな問題に目を向け、その解決策を考えます。日本だけでなく世界に視野を広げるきっかけにもなり、社会貢献できる人材の育成にもつながります。

中1 の数学は連立方程式。「ケーキを買いに行ったら」、など身近な生活に置き換えて解き進めます

「これまでの日本の教育はインプット(知識の詰め込み)に時間をかけてきました。これからはアウトプットを大事にすべきで、これには人間学のような、総合学習が最適です。中学の間は『広げる・究める・見つめる』をキーワードに「学び方」を学びます。これで学びの基礎を身につけ、高1で進路探究に取り組み、高2で韓国、マレーシア、ベトナム、オーストラリア、そして沖縄の5コースから選択する研究旅行へ。総合学習の時間に事前学習を行い、現地でさらに学びを深め、その成果を徳間記念ホールで発表します(校長・高橋 純先生)」。
コロナ禍で中止していた土曜講座も再開し、中高の6年間でさまざまなチャレンジの場を生徒たちに提供します。

昼休みは広い校庭に、野球やサッカーに興じる生徒たちの歓声が響きます

ビタミンママ編集部の注目ポイント

地域との一体感を大切に 塀がない学校で育むコミュニケーション

逗子開成は地域とのつながりを大切にしています。塀がない学校では体育館の前で近隣の幼稚園児が遊んでいたり、散歩中の方がベンチで休んでいたり。また、吹奏楽部や和太鼓部が地域のイベ
ントに参加し、日頃の練習の成果を披露することも。さらに、生徒の興味を引き出したり、多角的な考え方を育んだりすることを目的とする「土曜講座」も、地域の方々への開講を検討しているそう。「大人になっても勉強したいという方のモチベーションの高さを生徒にも感じてもらいたいと思っています。逗子開成は地域に愛される学校を目指して、これからも地域のみなさんと共に学び、歩んでいきたいと思います(高橋校長)」。

土曜講座には「医学部入試を考える」「JAXA でロケット体験」「漢検にチャレンジ」「たたら製鉄体験」など、先生や外部の専門家を招いて行うさまざまな講座があります。写真は「湘南ハイキングクラブ」と「お泊まり保育を手伝おう!」

お話を伺ったのは

逗子開成中学校・高等学校 校長 高橋 純 先生