手洗いロボット®︎シャル君の開発者 根木絢未さんのお母様に聞いた「子育て論」<町田こばと幼稚園>

コロナ禍で見直された手洗いをもっと楽しくしたい。そして、正しい手洗いをすることで、助けられる命がある。そんな思いから「正しい手洗い」をアシストしてくれるロボット「シャル君」を小学生のときに開発した、根木絢未さん。
中学生になったいまなお、正しい手洗いを広める活動と同時に、シャル君普及に向けた製品化を目指し、お母様と二人三脚で東奔西走の毎日を過ごしています。

そんな探究心あふれる絢未さんを育てたお母様に、「ご自身が行ってきた子育て」についてお話を伺いました。

絢未さんは小さい頃、どんなお子さんでしたか。

今でこそ人前に出てハキハキと話す姿を見せていますが、小さい頃はどちらかというとぼーっとしている子で、ひとり遊びが好きでした。家の中でも外でも、自分なりに楽しんでいて、今でも「自分が行きたいから行く」「やりたいからやる」っていう姿勢は一貫してあると思います。
町田こばと幼稚園 ビタミンママ

絢未さんは小さい頃から「ものづくり」が大好きだったそう。特にレゴrは大のお気に入りで、よく遊んでいたといいます。写真は4歳ころ

ひとりで遊んでいる姿に不安はなかったですか。

絢未は第一子で私自身、子育てに関する知識がなく、介入しちゃったんですね。声をかけたほうがいいのかな、一緒に遊んだほうがいいのかな、って。そうじゃなくて、もっと好きなようにさせておけばよかったのかな、と思います。私が介入しようとするから、絢未の気持ちが途切れちゃう。そうしなかったら、もしかするともっと集中力がついていたのかも、って思うことはあります。

町田こばと幼稚園を選んだ理由について。

私は仕事をしていたので、給食と園バス、延長保育を希望していたんです。園探しのタイミングで町田に引っ越してきて、市からいただいた一覧を見ながら、この条件に合うところを探したのが町田こばと幼稚園との出会いでした。
この園は年長さんで3泊4日のお泊まり会があって、新潟県の佐渡に行くんです。実は新潟は私の出身地でもあって、それも何かの縁と感じたのも決め手になりました。
町田こばと幼稚園 ビタミンママ

年長になると3泊4日で新潟県・佐渡島へ。貴重な経験は子どもたちを大きく成長させてくれます。絢未さんも幼稚園生活で最も印象に残っているのは「佐渡島お泊まり会」だったと話します

町田こばと幼稚園の印象を教えてください。

子どもたちに冒険をさせてくれます。先生の付き添いがあるのはもちろんですが、幼稚園児が町田市から佐渡島に行くって、なかなかできない経験ですよね。これ以外にもたくさんの経験をさせてくださり、大らかに温かく見守ってくださっているという印象です。細かく「あれしなさい」「これしなさい」というのは一切なく、子どもたちの自主性を重んじてくれていることも、成長につながったのかな。

ご家庭でも自主性を重んじた子育てを?

そうですね、絢未がやりたいということをさせるようにしていました。でも、親ってどうしても、「子どもにこれをやらせたい」ってあるじゃないですか。そんなときも必ず本人が「イエス」って言ってからさせるようにしていました。無理やりさせても絶対に本人のためにならないと思います。それを(挑戦)したら、こんな楽しいことや、あんないいことがあるんじゃない、という、「ススメる理由」を親から子へというのではなく、一個人として同じ目線で話して、最終的に本人が「うん、じゃあやってみる」と言ったことはさせていましたね。

絢未さんの意識が変わったエピソードはありますか。

3歳のときにストライダーカップに出場したんです。それに出ようよって声をかけたら最初は嫌がったんです。でも話を聞くなかでこの子は負ける(かもしれない)のが嫌なんだな、と気づきました。でも、大事なのは負けないことじゃなくて、挑戦すること、やってみようと思う気持ちが大事なんだよ、と。結果よりもママはそこを大事にしたいんだって伝えたら「ママがそこまで言うならやってみる」って。
町田こばと幼稚園 ビタミンママ

ストライダーカップの結果は?

勝てませんでした。でも、それ以上に得るものはあったようです。競技を終えた後、とてもいい笑顔をしていて、やり切った達成感に包まれているのはその表情を見てわかりました。その経験から、勝ち負けや成功、失敗じゃなくて、やってみようと思う気持ちと一生懸命、頑張ることが大切なんだってわかったみたいです。
町田こばと幼稚園 ビタミンママ

ひとつのターニングポイントになったんですね。

それ以降、いろいろなことにチャレンジする機会がありましたが、あのとき(ストライダーカップ)の気持ちを思い出して、「よし、やってみる」ってなっています。私が意識したのは、チャレンジが終わった後の振り返りですね。写真や動画で記録を残しておいて、何気なく見返すんです。
そうすることで記憶が定着するので、絢未も「私はできるんだ」って思えるようになるようです。もちろん、終わった後にどうだった、っていう振り返りはするんですけど、それだけだと多分、記憶は流れてしまうと思うんです。あと、私のしつこい性格もあるのかもしれません(笑)。
町田こばと幼稚園 ビタミンママ

その経験が「手洗いロボット®︎シャル君」の活動にもつながっているのですね。

きっかけは学校の学習のひとつだったのですが、そこから絢未の探究心に火がついて、気づけばチャレンジの連続です。コンテストに出場したり、製品化のため企業訪問をしたり、大人の前でプレゼンしたり。本当にすべてがチャレンジです。

途中、無理だよ、諦めようって私から持ちかけたこともありました。二人で涙を流したこともありますし、勉強との両立だって難しい。でも、本人はやめないって。だから私は、絢未の意志を尊重したかったし、子どもをもつ親として、シャル君のような手洗いアシストロボットを欲しいと思ったから、今も伴走しています。

町田こばと幼稚園 ビタミンママ

小中学生を対象に、社会課題解決のアイデアを募集する「スタートアップJr.アワード」。絢未さんは「正しい手洗いでみんなのHAPPYへ」というテーマでプレゼンし大賞を獲得しました

絢未さんの意思の強さはどこからきたのでしょうか。

ストライダーカップもそうだし、学校の縄跳びコンテストでチャンピオン大会に出られたことも大きかったのかな。二重跳びなんてまったくできなかったのに、毎日たくさん練習して、100回跳べるようになって。努力したら必ず成果が出るって言うのを、身をもって体感してきたのがよかったのかな。そのときの絢未にとって、努力すればクリアできるかもしれないことを意識します。

もちろん達成しないこともありますが、親としてはそのプロセスを大切にしています。あとこれは本人がよくいっていることなのですが「はじめたことを終わりまでやらないと、なんか気持ち悪い」という性格もあると思います。

最後に、お母様の子育てのモットーとは?

今、実感しているのは「環境が人を育てる」ということ。大切な幼児期を町田こばと幼稚園で過ごせたのは大正解だったと思います。卒園が近くなって、この幼稚園ではじめて耳にした「IB教育」が、いま絢未が通っている玉川学園での学びにつながっていますし、これも何かのご縁だなぁ、と。

幼稚園では子どもたち一人ひとりの個性を大切に、でも社会のルールを学ばせてもらったり、いろいろなことに挑戦させてもらったり。佐渡ヶ島のお泊まり保育に代表されるように、家庭ではなかなかできない経験をさせてくださったのは、大きな成長につながったと思います。親の狭い視野にはめるだけではなく、ときには信頼できる人や機関に任せることで、子どもの可能性を広げてくれるのではないでしょうか。

そして私の子育てのモットーは、そんな経験をしてきた娘がやりたい、と言ったことを全力で応援することです。一緒に悩んで、一緒に悔しがって、一緒に笑って、そして喜びを分かちあう。いま取り組んでいるシャル君のプロジェクトも、二人で共感してきたからこそ、想定していなかった苦難に涙することもありましたが、なんとか乗り越え、支えてくれる人、応援してくれる人に出会い、進んでこられたと思っています。これからも娘と伴走しながら子育てを楽しんでいきたいですね。

町田こばと幼稚園 ビタミンママ