2026園長先生に聞く。主体性と自律心を育てる「つどいの森もみの木こども園」の保育とは

自分で考え、行動できることを大切にする、つどいの森もみの木こども園。園内調理の温かな給食や、インカムを駆使した先生たちの緊密な連携など、子どもたちが安心して過ごせる環境が整っています。
長年、運動遊びを通じて多くの子どもたちの成長を見つめてきた園長・東洋一郎先生に、本当の自由を楽しむために必要な「ルールとの向き合い方」、そしてそれを支える先生たちのチームづくりについてお話を伺いました。

太鼓に向き合う中で、自分なりのリズムや表現を見つけていく子どもたち。
体いっぱいに音を響かせながら、「好き」や「自分らしさ」に気づいていく時間です
(つどいの森もみの木こども園)

お話

つどいの森もみの木こども園
つどいの森もみの木こども園
園長 東 洋一郎 先生

ルールがあるからこそ守られる「真の自由」

私たちは、子どもたちの自由を大切にしたいと考えています。ただ、何でも好きにしていいという意味ではありません。ルールや約束があるからこそ、その中で安心して自分らしく動くことができる。それが本当の意味での自由だと思っています。

例えば給食の時間。当園では、一斉に「いただきます」はしません。子ども自身が遊びの区切りを見て「そろそろご飯にしよう」と判断して席に着きます。ただし、席には限りがあるので、空いていなければ待つこともあります。

自分のタイミングで動ける自由はあるけれど、周りの状況も考えなければいけない。その両方を経験することが、集団の中でどう振る舞うかを考える力につながっていくと考えています。

つどいの森もみの木こども園

自分でタイミングを見て食べに行き、量も選ぶ。
日々の給食の時間にも、子どもたちが考えて動く経験が息づいています
(つどいの森もみの木こども園)

日々の活動も同じです。例えば年長で取り組む太鼓の時間に「やりたくない」と思う子がいても、その気持ちは認めていいと思っています。
ただ、その時間に園庭へ行くという選択は難しい。なぜなら、その子のために先生がひとりついて見守る必要があり、全体の安全や活動に支障が出てきてしまうからです。

「やる・やらない」は選べるけれど、集団の中で過ごすという前提は共有する。
その中で、見ているだけでもいいし、途中から参加してもいい。そうやって自分の気持ちと状況の折り合いをつけていく。この葛藤のプロセスこそが、子どもの心を成長させるのです。

専門講師と見つける「興味の芽」
プロの知見が引き出す子どもの可能性

和太鼓や英語、アートなど、各分野の専門講師を招いています。かつて保育者はオールマイティーであることが求められましたが、教育が多様化する現代は、より深く専門的な視点が不可欠です。

つどいの森もみの木こども園

専門の先生によるアドバイスが、
子どもの「もっと描きたい」という意欲を引き出し、自由な表現を後押しします
(つどいの森もみの木こども園)

例えば絵画ひとつとっても、抽象的に描きたい子もいれば、見たままを写実的に描写したい子もいます。
専門の先生は、その子の表現したいものに合わせて「この子なら色鉛筆で濃淡をつけるともっと表現が広がるかも」と、一人一人の感性にフィットする道具や技法を提案してくれます。
保育者だけではカバーしきれない深い専門知識が加わることで、子どもたちの「得意」や「好き」の芽がより健やかに伸びていきます。

こうした活動は、決して「上手にできること」を目的としているわけではありません。
多様な分野に触れる中で、「自分はこれが好きだ」「これはちょっと苦手だな」と、自分自身の特性に気づいていくこと。
そして、たとえ苦手なことがあっても「太鼓は好きなんだよね」と思える、自分なりの強みを見つけていくことが大切だと考えています。

つどいの森もみの木こども園のサーキット遊び

一方通行のルールがあることで、安全が守られ、
子どもたちは安心して思いきり体を動かすことができます
(つどいの森もみの木こども園)

ブロックや跳び箱、マットなどを組み合わせたコースをまわる「サーキット遊び」も、身体能力の向上だけが目的ではありません。
さまざまな経験を通して、自分なりの表現や「やってみたい」を見つけていくための機会です。
大人が責任を持って、多様な経験の場を用意し続けることが、子どもたちの可能性を広げると信じています。

先生が安心して働けることが、
子どもの安心と成長につながる

子どもたちが安心して自分を出し、のびのびと成長するためには、まず一番近くにいる先生たちが心身ともに健やかで、安心して働ける環境が不可欠だと考えています。

そのための大きな支えが「インカム」の活用です。園内のどこにいても、インカムがあれば「今ちょっと助けて」と一言発するだけで誰かとつながれます。たとえ相手が「ごめん、今は動けない!」という返答だったとしても、声が返ってくるだけで「自分ひとりで抱え込まなくていいんだ」と心に余裕が生まれます。この「孤独にさせない環境」が、先生たちが落ち着いて子どもと向き合うための土台となっています。

つどいの森もみの木こども園

運動会や発表会などの行事でもインカムは大活躍。
先生同士が声を掛け合いながら、安心してスムーズに動ける環境を支えています
(つどいの森もみの木こども園)

また、職員同士の横のつながりも大切にしています。
3ヶ月に1回、主任と先生でお茶をしながら話す「1on1」を設けていますが、内容は仕事の話に限らず、プライベートや趣味の話でも構いません。
役職という壁を取り払い、何でも言い合えるフラットな関係を築くこと。それが、大人同士が対等で健やかなクラス運営にも反映されると考えているからです。

つどいの森もみの木こども園

先生が心に余裕を持って向き合うことで、
子どもたち一人ひとりの小さな変化や「やってみたい」のサインを逃さずキャッチできます。
(つどいの森もみの木こども園)

家庭の事情や急な体調不良によるお休みも、当たり前に受け入れられる組織でありたいし、残業ゼロを目指し、大人が自分自身の生活を大切にできる仕組みも整えています。
そうして先生たちが最前線で最高のパフォーマンスを発揮できる環境を作ることが、結果として、子どもたちを温かく見守る「チーム保育」の質を高めていきます。

「アットホームな園」という言葉の真意は、単なる仲の良さではなく、こうした人間関係の良さが子どもたちへの保育に100%還元されている状態を指すのだと、私たちは考えています。

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