内視鏡検査で、がん罹患率上位の 胃がん・大腸がんの早期発見を

体にカメラを挿入して調べる内視鏡検査にはどのようなメリットがあるのでしょう。
長年、胃がんや大腸がんの治療・研究に携わってきた新横浜国際クリニック理事長、石黒智也先生に話を伺いました。

胃がん・大腸がんは早期発見で完治の可能性大!

胃がん、大腸がんは罹患率、死亡率ともに高いがんですが、早期に発見すれば、治癒できる可能性が高いことでも共通しています。そこで有効とされているのが内視鏡検査です。先端にカメラを取り付けた細いスコープを体内に挿入し、直接観察しながら病状を判断できるので、胃や大腸の病変の早期発見が可能です。

胃の検査には、通常バリウム検査もよく行われていますが、胃がんの初期症状は表面の色調が変化しているだけだったり、わずかに凹凸がある程度だったりすることが多く、出っ張りや凹みで病巣を見分けることを得意とするバリウム検査では発見しにくいという欠点があります。判定されやすくなったころにはすでに病状が進行していることもあり、注意が必要です。

胃や大腸の中をカラー映像で映し出し、リアルタイムで観察できます

大腸についても同様で、簡易的に便の潜血を調べるケースがほとんどです。たまたま採取した場所に血液が混じっていないことも多々あり、実際に症状が出てから慌てて検査したときには、やはり進行してしまっている場合が多いのです。

また、早期なら内視鏡で病巣を切除するなどの治療も可能で、体への負担を最小限に抑えることができます。「胃の内視鏡は40代からは1年に1回、大腸がんは
40代からでは遅いくらいです。ポリープが見つかったら1年に1回、何もなけば2年に1回が目安です」と石黒先生。「高齢になって、もう、がんになっても治療をしないから、といって検診を受けない人もいますが、いくつになっても結局がんは大変です。ですから、防げるものは防ぐという気持ちで内視鏡検査を受けていただきたいですね」。

内視鏡検査

専用の内視鏡スコープを口や鼻から体内に挿入し、食道や胃の中をカラー映像で確認しながら消化器に異常がないかどうかを判断。もし疑いがある箇所があれば、同時に組織採取も行います。
【胃の内視鏡検査でわかる病気】
食道がん、胃がん、胃潰瘍、十二指腸がん、逆流性胃腸炎、慢性胃炎、ヘリコバクター・ピロリ感染など

大腸の内視鏡検査

前日の夜に下剤を内服し、当日は先端に専用の内視鏡スコープを肛門から挿入、大腸全体をカラー映像で観察します。大腸ポリープの切除や、疑いがある箇所の組織の採取なども同時に行います。
【大腸の内視鏡検査でわかる病気】
大腸ポリープ、大腸がん、腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病など