國學院大學 人間開発学部 子ども支援学科 夏秋 英房(なつあき ひでふさ)教授
地域社会における子どもの育ちや教育活動に関心があり、大學では教職課程の「教育と社会」や「地域教育社会学」などの科目を担当。川崎市内の学校運営協議会に参加。近著は『地域コミュニティと教育』(放送大学教育振興会)
Ⅰ. 子育てに必要な活きた情報
あなたは、子育てをするときに、地域の人々とのつながりは必要だと思いますか。
一般に、子育てをするには、さまざまな人とのゆるいつながりと、「活きた情報」が求められるといいます。人間開発学部の2017年度学部共同研究で幼稚園生の保護者にお聞きしたところ、「お母さん同士で話す機会が、幼稚園に入るまでありませんでした」「友達ができるまでの間が結構苦しい時間だった」などの声がありました。
また、地域で必要とされるのが、「子どもの防犯のための声かけや登下校の見守りをする人がいること」、「子育てに関する悩みについて気軽に相談できる人や場があること」、それから「子育てをする親同士で話ができる仲間づくりの場があること」です。
Ⅱ. 安全な街を作るために、地域に目を向け、声をかけ合おう
子どもが犯罪にあわない安全な地域をつくるにはどうしたらよいのでしょうか。
先日、地域安全マップづくりの講習に参加しました。そこで子どもたちは犯罪の機会を増やすポイントを知り、地域を点検してマップを作ります。
点検するポイントの一つは犯罪者が「入りやすい」場所、もう一つは周囲から「見えにくい」場所です。
さらにもう一つ、犯罪が起きやすくなる原因は「街の人が見て見ぬふりをして声をかけないこと」です。
大人も子どもも大きな声であいさつし、声をかけ合うほうが、犯罪の抑止になります。
Ⅲ. 親同士、知り合う機会を利用して活きた情報をゲットしよう
新たに引っ越してきた子育てママさんを、地域の人に上手につなげるための取り組みがあります。
川崎市宮前区の「うぇるかむ宮前」事業です。
世の中に子育て支援という言葉もなく、行政部署もなかった20年ほど前に住民が自らはじめた活動で、今でも「うぇるかむクラス」として続いています。ここでは乳幼児を連れて引っ越してきたお母さんが、先輩ママさんや地域の人などと知り合うことができます。若いお母さんたちもこのような集いを、見つけて参加し、活きた情報を手に入れましょう。
Ⅳ. 外国系の人たちともつながっていこう!
最近は、子どもを育てている外国系の親たちが増えました。
外国系の親たちにも、出産後の子育ての不安を分かち合い、情報交換できる仲間が必要なことは日本の親たちと変わりません。さらに日本語の壁、制度の壁、子どもの教育の壁などの問題があります。
外国系の人たちと住民が知り合い、地域で子育てについて話し合い、関わりを築ける場や仕組みづくりが求められています。