相模女子大学小学部 校長先生に聞く! ~未来に向けた小学校教育のありかた~

2020年4月、校長に就任した川原田康文先生。小・中、大学での教員経験、ロボティクス教育研究者としての実績、ご自身がもつ「エグゼクティブ・コーチ」の資格を活用して行う教員教育など、経験や実績に裏打ちされた実力をフルに活用した教育改革を行っています。
その精力的な取り組みからのイメージとは全く異なる、ゆっくりと穏やかな口調で優しく話す川原田先生に、 相模女子大学小学部(以下、小学部)の教育についてのお話を伺いました。

相模女子大学小学部校長の役割とは、どんなことだとお考えですか?

学校全体を盛り上げ、子どもたちの笑顔を未来につないでいくことだと考えています。たとえば、本校には伝統的なすばらしい教育がたくさんありますから、それを継承しながらも、急速に変化する時代の流れに順応して、先進的な教育もとりいれます。そこにはスピード感と質の高さが必要ですから、教師自身も常に学び、さらなるレベルアップのための教育研修を積極的に実施していくことも私の役割です。

「先進的な教育」の代表格として、2020年度から小学校で必修化されたプログラミング教育があります。ロボティクス教育研究の第一人者である川原田先生がお考えになる、学校教育の中でプログラミングが必要とされている理由を教えてください。

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▲カエルロボットをつくって、動きから仕組みを考えます(相模女子大学小学部/神奈川県相模原市)

プログラミングの授業というと、ロボットの動かし方を学ぶとか、言語を読んだり覚えたりというイメージがあるかもしれませんが、そうではありません。私は「プログラミングは未来に向けた基礎を学ぶ学習」だと考えています。というのも、私が長年研究してきた「ロボティクス教育」とは、そもそも社会の課題解決のために、ロボットの設計・制御を行い、さらなる思考力・分析力へと発展させる学問だからです。

簡単に言うと、人間同士なら「こうしたい」と言えば、言われた相手はそのリクエストに応えるよう、さらに考えながらその目標を達成するために努力しますが、ロボットはそうはいきません。ロボットは人間の命令通りにしか動かないのです。だから、動かし方だけを知ってもそこに発展性はあまりありません。

私たちが子どもたちに教えるべきことは、社会の課題を見出し、その解決方法を考える力です。これまで、人間の力だけでは成し得なかったことが、ロボットを使うことで可能になることがたくさんあります。そのためにどうロボットを活用すればいいのか?その発想力、思考力を学ぶのがロボティクス教育であり、学校教育の中のプログラミングのベースです。

 

小学部ではどのような形でプログラミング教育を行っているのでしょうか。

本校では2017年度から、全児童に向けたプログラミング授業を開始しています。私自身、2002年からロボティクスを研究しているので、その成果を取り入れたカリキュラムは、他校にはできないハイクオリティな内容であると自負しています。

本校のプログラミング授業は、他の教科の中に入れ込まず、専任教師による単科として進めています。1年生は、レゴ®やキットを使ってロボットが動く仕組みや組み立て方を学習し、iPadを使って動かす簡単なプログラミングを学びます。2年生になると自動車型のロボットでは走らせるためのプログラミングを学びます。

自分のプログラムによってロボットが動くのはとてもうれしいものです。しかし、それで終わりではありません。次のステップで速度や時間を考え、最終的には、机の上を走らせてもギリギリのところで止まるという、高度なプログラミングにもチャレンジします。もちろん全く動かなかったり、途中で壊れたりというトラブルはたくさんあります。

大切なのはそのトラブルに対して「なぜ?」「どうしたら?」「じゃあ、次はこうしてみよう」という発展です。高学年になると、さらに難しい内容に取り組みます。5年生からはSDGsや英語とも組み合わせ、高度な総合学習へと発展します。また6年生はPepperを動かすプログラミングについて学習し、人間と将来の社会について考えます。「もっとプログラミングを学びたい!」という児童が校外のロボットコンテストに参加して優秀な成績を修めるなどの成果もあげています。

さらに本校では、「科学」「技術」「工学」「数学」のSTEM学習に「芸術・教養」を加えたSTEAM学習をプログラミング学習につなげるという取り組みも積極的に行っています。冒頭で申し上げた「プログラミングは未来に向けた基礎を学ぶ学習」という意味はここにもあるのです。

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