一人ひとり違う、その子の育ちを大切に
2、3歳頃になると、一人ひとりの「その子らしさ」が見えてきます。好きなこと、苦手なこと、動きの活発さ、手先の器用さ、友達との関わりなど、興味関心や行動の違いが見えます。「だだこねが激しい」「こだわりが強い」「好き嫌いが目立つ」などについては、対応に困ることもあり、「育て方」に悩む方も増えます。一人ひとり育ちのペースがあり、環境や刺激の感じ方、捉え方も異なることに気づくことが大切です。
「育てにくさ」を感じさせる子どもの背景として、身体の調整力や視覚・聴覚・触覚などの感覚の特性や言葉の理解・表出の困難さがあることがわかっています。「決まったものしか着ない、食べない」「初めての場所で固まってしまう」「口より先に手が出てしまう」「じっとしていない」「予定の変更でパニックになる」「泣き声や大きな声がやまない」などの場面に遭遇すると周囲の大人は困ってしまいますが、実は本人こそ困っているのです。目に飛び込む景色や錯綜する話し声、ざらざら感やちくちく感などの刺激がとてもつらい、見通しが立たず不安でたまらない、気になると止まれない、それをうまく言葉で伝えられない…「わかっているけど、どうにもできない」という本人の困った状況にまず寄り添いたいものです。
安心できる環境が折り合いやチャレンジを生み出す
わが子の特性に気づいたら、いつも一緒にいる家族の腕の見せどころ。話しかける言葉を短くする、少なくする、いつもと違うことは予告する、気持ちの代弁をしてあげるなど、関わりの工夫をするだけで状況は変わってきます。子どもにとって何より重要なのは「苦手」なことを無理強いされないという安心感です。安心できる環境の中でこそ、苦手なことにもチャレンジしてみようという気持ちが育ちます。様々に苦手はあっても、少しずつ経験を広げたり社会のルールを学ぶことで、ちょっと我慢したりする力も育てたいですね。今できることをもとにして、少し手伝ってもらえれば乗り越えられることがチャレンジのポイントです。
気になる特性も見方を変えると素晴らしい強みであり個性となります。リフレーミングとかネガポジ変換と言われる言い換えで、お子さんを捉えていきましょう。【過敏→感受性が豊か】 【こだわりが強い→物事に集中できる】【初めてのことに戸惑う→慎重に取り組む】【じっとしていない→行動的】…たくさんありそうですね。わが子の素敵さを言葉にしてみましょう。見る目が変わってくると思います。
みんな違ってみんないい
ちょっと生きづらさを抱えている子どもたち、周りの理解とちょっとした対応の工夫でその特性を個性として素晴らしい力を発揮できます。きらめく個性を宝物にするのは、周りの大人の役目だと思います。