寒い冬を元気に過ごすおうち薬膳
風邪のときにおススメのレシピ

中医学では、季節や体質、体調に合った食材を、バランスよく食べることが健康で強い体をつくると考えます。

そして、その考え方をもとにつくられた食事を「薬膳」といいます。寒い冬を元気に乗り切り、風邪にも負けない強い体をつくる「薬膳」について、国際中医薬膳師、原田裕子さんに教えていただきました。

おいしいえほん 薬膳 食育 ビタミンママ
▲国際中医薬膳師、原田裕子さんのインスタグラム

「薬膳」ってなに?

中国の伝統医学と陰陽五行説に基づいて作られた食事が「薬膳」です。

陰陽五行説は、すべてのものは陰と陽に分かれ、性質の異なる5つの物質・五行「木・火・土・金・水」に分類され、5つのバランスで成り立っているという考え方で、五行には、季節・五臓・五味が対応します。

おいしいえほん 薬膳 食育 ビタミンママ

健康維持には、医療(薬)と同様に普段の食事が大切だという「医食同源」も、「薬膳」の考えがもとになっています。
季節や自分の体質、体調に合った食材を取り入れたバランスの良い食事が「薬膳」です。

食べ物の性質を知っておこう!

すべての食べ物には薬と同じように、体に効く性質、効能があり、その食材が、体を温めるのか冷やすのかを基準に分類したものを五性(熱・温・平・涼・寒)といい、その食材の味によって、どのような作用があるのかを分類したものを五味(酸・苦・甘・辛・鹹)といいます。

そして、それに分類される食事がこちら↓

■五性(熱・温・平・涼・寒)

おいしいえほん 薬膳 食育 ビタミンママ

■五味(酸・苦・甘・辛・鹹)

おいしいえほん 薬膳 食育 ビタミンママ

※鹹味(かんみ):自然界の塩辛さのこと。ただし分類上はしょっぱい味ではないものも含まれる。

季節の薬膳で風邪をふっとばす!

食材の分類によって、体に及ぼす作用が異なります。
冬は気温が下がり、血流が悪くなり、体も乾燥します。体を温め、潤す食材を摂りましょう。
風邪かなと思ったとき、風邪で熱が上がって辛いときなどにおススメのレシピを紹介します。体調に合わせて薬膳を役立ててください。

おススメのレシピ

■風邪の予防に(かぼちゃのすいとん 味噌仕立て)
■風邪のひき始めに(リンゴジュースのくず湯)
■熱があり、咳が出るときに(バナナとリンゴのアーモンドミルクスムージー)

風邪の予防におススメ!
かぼちゃのすいとん 味噌仕立て

おいしいえほん 薬膳 食育 ビタミンママ

(材料、作りやすい分量)

すいとん 【かぼちゃ(種を取り、皮をむいたもの)…100g、小麦粉…50g】
鶏もも肉(1㎝の角切り)…100g
人参(5㎜幅のいちょう切り)…40g
カブ(5㎜幅のいちょう切り)…中1個
しめじ(ほぐして半分に切る)…1/2パック(50g)
だし汁…800cc
小ねぎ…適量 みそ…大さじ2

(作り方)

① かぼちゃはレンジにかけるか、蒸して柔らかくしてつぶす。
② 鍋にだし汁を入れ、沸騰したら、鶏肉、人参、カブ、しめじを入れ
て柔らかくなるまで煮る。
③ すいとんの生地を作る。①に小麦粉を加え、水小さじ2を少しず
つ加えて練り、耳たぶより少し柔らかめにしてまとめる。
④ ③を食べやすい大きさにちぎって②に入れて火を通し、みそで味
を調える。
⑤ 素材に火が通ったら器に盛り、小ねぎを散らす。

食材の働き

  • かぼちゃ・・消化吸収力を高め、疲れにくい体を作る働きが期待できる。体力をつけたいときにおすすめ。体を温め、やさしく作用するので、特に子どもや高齢者におすすめ。
  • 人参・・・食欲不振や胃もたれの解消が期待できる。血を作る働きもあり、また目に良いとされているので、日常的に食べたい野菜。
  • カブ・・・冷えからくる腹痛や下痢などの改善に有効。またのどを乾燥から守り、咳止めの働きも期待できる。
  • しめじ・・きのこは免疫力を高める働きが期待できる。しめじは疲れやすい人には特におすすめ。また肌の乾燥や便秘の改善が期待できる。
  • 鶏肉・・・お腹を温め、消化機能の働きを活発にしてくれる。体力をつける食材で、虚弱体質の改善にもおすすめ
  • 小麦粉・・米、小麦などの穀類やイモ類は全般的に気を補う食材が多い。
  • みそ・・発酵食品のみそは腸内環境を整え免疫力を上げてくれる。

「気」が不足すると体調を崩しやすくなります。
また体が冷え、粘膜が乾燥するのも免疫力が落ちる原因になります。寒いこの時期は「気」を補う食材、体を潤す食材、体を温める食材を摂りましょう。また、発酵食品は免疫力upに効果的です。

風邪のひき始めに
リンゴジュースのくず湯

おいしいえほん 薬膳 食育 ビタミンママ

(材料)

リンゴジュース(できればストレート)…200cc
くず粉…7g はちみつ…適量
シナモン…一振り

(作り方)

鍋にくず粉を入れて、リンゴジュースを少量加えて混ぜる。くず粉が溶けたら残りのリンゴジュースを入れて火にかける。シナモンを加え、中火でよく混ぜながらとろりとするまで加熱し、最後に好みではちみつを加え、味を調える。

風邪のひき始めには、なるべく早く体を温め、血行をよくし、発汗を促して、ゆっくり体を休めましょう。

食材の働き

  • くず粉・・まだ邪気(病気の要因、ウイルスのようなもの)が体表にあり、ゾクゾクした時によい。
  • リンゴ‥消化機能を整え、消化不良や下痢によいとされる。また乾燥を抑えるので、のどの痛みや咳をやさしく鎮める。
  • シナモン・・体を温め、冷えや痛みを和らげ、悪寒や頭痛など冬の風邪の症状改善に効果的に働く。
  • はちみつ・・潤す働きがあるので、口やのどの乾燥、咳、かすれ声などの改善が期待できる。

熱があり、咳が出るときに
バナナとリンゴのアーモンドミルクスムージー

おいしいえほん 薬膳 食育 ビタミンママ

(材料)

バナナ(常温)…1/2本 リンゴ…1/4個
アーモンドミルク…200cc

(作り方)

すべての材料をミキサーに入れて撹拌する。

食材の働き

    • バナナ・・体を冷ます働きが強く、腸を潤し、肌の乾燥を防ぐ。便秘の解消に効果が期待でき、解毒作用があることからのどの痛みの強いときにもおすすめ。

※冷凍バナナはおなかを冷やしすぎて、胃腸の働きを弱めるので、常温のバナナを使いましょう。

  • アーモンド・・・肺を潤し、咳や痰の症状に有効。

「おいしいえほん」とは…

おいしい絵本 ぎょうざ ビタミンママ

「ビタミンママのおいしいえほん」は、年4回発行の食育フリーペーパーです。

お気に入りの絵本に出てくるおいしそうなあの料理。どんな味かな? どうやってつくるの?
想像をふくらませて、親子でキッチンに立ってみたり、絵本をめくってゆっくりお話ししてみたり。「そんな楽しい時間がもっともっと増えますように」そんな思いで「おいしいえほん」をつくっています
もっと、詳しくはコチラ▶︎