山田りかのハートフルエッセイ

プロフィール:某酒類メーカーに勤務するかたわら、ママ達の日々の暮らしを見つめる勤労作家。年齢不詳。いくつになっても、竜也の前では乙女です。

No.56 Englishな日々~Season 3~

『午後の散歩道』に、ようこそ!
暑くもなく寒くもなく、夜遊びするのも心地よい。
6月始めの、梅雨になる前の日本が、私は大好き。

If you like to visit Japan, you should come here in this season!
(日本に行ってみたい思ってるアナタ、来るならこの時期がいいヨ!)
と、日本政府になり代わり、海外の皆さんにオススメしたい季節である。


梅雨の前に咲くあじさいの 可憐なブルー

そしてそんな季節にお伝えする私のEnglish な日々もSeason 3。
猛勉強の末に心神耗弱となり、ドクターストップと共に自分の限界を思い知らされた私は、厳しく鍛える英語から、楽しく触れ合う英語へとシフトチェンジすることにした。

そのきっかけを与えてくれたのは、前回のラストに登場した若く美しい英国人講師・Lindyである。

1. 宿題はありません

私が今も通っている、銀座の裏通りにあるマンツーマンの英会話教室『イングリッシュ ビレッジ』。
1回40分のレッスンで2100円(+消費税)という格安な値段設定ながら、講師は全員ネイティヴ、授業内容は生徒の希望に応じて、TOEIC対策、英語プレゼンの練習、旅行英会話など、どのようにでもカスタマイズできるという、フレキシブルな語学スクールである。(宣伝するワケじゃないけれど、横浜にもあります)

そこで初めてLindyを見た時、私は思わず
“What a beautiful!”
という感嘆詞の基本フレーズを口にしてしまった。
すると彼女は少し困ったように微笑みながら
“Thank you” と言って、私を自分の個室へ招き入れ、「そこに座って」と椅子を勧めてくれた。

彼女は長い栗色の髪をポニーテイルにまとめ、黒とグレイの質素な服を着ていた。身長170センチ以上のスラリとしたモデル体型で、ハリウッド女優のように整った顔をしている。こんな美人が、どうして1回2100円の地味な英会話教室の講師をしているのか、不思議だった。


ここをLindyが歩いても、全然不思議じゃない!   photo by henryjose on VisualHunt

拙い英語で、一通りの自己紹介を済ませると、Lindyは私に、どんな授業をしたいのか聞いてきた。

その頃の私は、とにかく英語を話すことに慣れたい、外国人と向き合ってもビビらずにコミニュケーションをとりたい、と願っていたので、そのことをたどたどしく伝えると、
「OK。それじゃしばらくは、フリーの会話を楽しみましょう」と、英国訛りのない聞き取りやすい綺麗な英語で応じてくれた。

(えッ。フリーの会話? フリーっていったい何を話せばいいの!?)

日本のほとんどの英会話初心者と同様、私もLindyに向けた笑顔の裏側で、

(どうすりゃいいんじゃ~!!)
パニックになったことを覚えている。

しかしそこは彼女もプロの講師。
ビビる私を優しい笑顔で受け止め、つっかえながら喋る私の英語に辛抱強く耳を傾けて、
「それはいつ頃のこと?」「どうしてそう思ったの?」と、話しを次へ繋げてくれるのである。言いたい単語がどうしても出ず、”Wait a minute ”とスマホで検索するときは、”Shure. Take your time” ( ゆっくりで大丈夫よ )と待ってくれる。

毎日10時間以上もかけて頭に詰め込んできた英文法も英単語も、いざ話すとなると、てんで出てきやしない。私が話すのは悲しいくらいにプロークンな英語である。


パニックになった時、私は『微笑み地蔵』と化す…。

しかしLindyのレッスンには、少しでも口ごもると「Next!」と次の生徒へ回答権が移ってしまうN学院とは、根底から異なる和やかさがあった。

彼女に訂正された英文を書き取ろうとすると、それは私がメモするから、あなたは何も書かなくていい、と言う。

もうじき40分の授業が終わろうという時、私がこわごわ
“Is there anything to do for next lesson?”
(次の授業までに、やっておくことはありますか?)と聞くと、彼女はきっぱりした口調で、
“No. You need nothing to do.”
Nothingにアクセントを置き、(いいえ。何もする必要はありません)と言った。

“Rearly?”
宿題を抱えて帰るのが当たり前になっていた私が聞き返すと、彼女は”Yes.”とニッコリ笑って、レッスン中にメモした紙を、ハイ、と手渡してくれた。

私は羽が生えたような軽やかな気持ちでLindyに別れを告げ、次の授業の予約を取って教室を後にした。

そして帰りの電車のなかでLindyのメモを見ると、私がレッスン中に間違えた数々のBroken Englishが つぶさに書かれてあり、
(うわぁ、ヒドイ……)
と、おのれの英語の貧弱さに愕然としたのである。

その日以来、私の毎日は、N学院の週2日のスパルタ授業とLindyとの楽しい英会話レッスンの二本立て生活となった。


これがLindyのLesson memo。図解の説明もキュートだった♡

2. EnglishでGirls’ talk♪

さてここで、私がLindyとの40分のレッスンで、どんな会話を交わしてきたかを紹介しよう。

たとえば季節の行事の話。
私がその教室に通い始めたのは2015年の暮れから。 年が明けて最初のレッスンで、私が実家で食べたお節料理の写真を見せると、
“Oh! gorgeos!”と、外国人らしく喜んでくれる。

彼女はスマホの画面を指で広げ、
「コレは何? どんな味?」とお節の料理1つ1つの解説を求めてくる。

ひな祭りの時は行きがけに桜餅を2つ買い、そのうちの1つを
“Help yourself.”とLindyにあげた。
「これは何の葉っぱ? 食べられるの?」
小さな個室で桜餅を食べながら、私は英語で桜餅とひな祭りの説明をする。

七夕のシーズンには織姫と彦星の悲恋について語り、ハロウィーンの頃には、
「このメイク、目と口の周りだけで簡単だったよ」
と、人食い女にメイクしたLindyの写真で盛り上がる。
ちなみに美人のLindyが口の周りを血だらけにして睨みを効かせた本気の仮装は、そのままハリウッドのゾンビ映画に出演できそうな迫力だった。


欧米人の本気ゾンビ、マジ怖い!(これはLindyではありません)   photo by John Biehler on Visual Hunt

私が髪を少しカットするとLindyはすぐに気づき、日本人とイギリス人の髪質の違いについての会話が始まる。

彼女は昔のハリウッド映画や80年代に流行ったロックミュージックが好きで、私達はお互いのiphoneに入っている曲を見せあったり、お奨めの古い映画を教えあったりした。

もう1つの共通の趣味は、犬や猫のオモシロ動画を見ることで、私達はその週に仕入れた とっておきの動画を見せあって楽しんだものだ。

彼女はよくMy boyfriend の話をするので、いったいどんなヤング・エグゼクティヴかと想像していたのだが、彼は「オーナーではない雇われの料理人」だと教えてくれた。
写真を見ると、身長180センチを超える巨漢でロン毛の竹原ピストル、というような風貌で、私は思わず、
“Oh, wild…”と正直な感想を漏らしてしまった。すると彼女は、
”He is exactly my type.”
(彼ってモロに私のタイプなの)とニンマリ笑い、彼と初めて出会った頃の話を聞かせてくれた。

恋バナで盛り上がるのは世界共通のGirls’ talk。
彼女は日本に来てから付き合ったヒドイ元カレの話をし、私は昔経験した情けない失恋話を告白し、「日本のオトコって本当にそう」「イヤ、日本人だけじゃなくイギリス人だって」と女同士の絆を深めていった。


なんでそーいうことする? 男って…と溜め息をつく。。   Photo on Visualhunt

彼女のレッスンを受けたのは2015年の年の瀬からの1年余り。
その間、私がもっともたくさん話をした相手は 間違いなくLindyだ。

彼女には、父が亡くなった時の話もしたし、若い友達を亡くした時は、手を握って一緒に泣いてくれた。

もちろん、私のプアな語学力では、掘り下げた深い話など出来やしない。
それでもその時感じたことをストレートに話し合い、共有し合う喜びを教えてくれたLindyには、心から感謝している。

ちなみに私の貴重なレッスン期間は、彼女にとっても人生の節目のシーズンだった。
Boyfiendだった料理人の彼は彼女のFiancé(婚約者)となり、Husband(夫)となった。
彼女から報告を聞くたびに、私は小さなプレゼントを用意し、
“Congulatulations!”とハグを交わし、お祝いをした。

彼女とのラスト レッスンは、2017年の1月の終わり。
結婚を機に Lindyは大人向けの英会話講師から幼児向けの語学教師に転身したのである。
その時、彼女のお腹には、料理人の夫との新しい命が宿っていた。

40分のレッスンの終わりに、私がLindyをイメージした小さな花束を差し出すと、彼女は
「私もあなたにプレゼントを用意したのだけど、家に忘れてきちゃって……。
代わりにコレを!」と笑いながら、「あまおう」の大きな粒が詰まったイチゴを1パック、私にくれた。

“Thank you Lindy. I love strawberry!”


ありがとうLindy。イチゴ、とっても美味しかった!

彼女は “Let’s keep in touch!”
(連絡を取り合いましょう!)と言い、私達は最後にLINEのIDを交換し、お別れのハグを交わした。

以上、私がLindyと過ごしたEnglishな日々、いかがでしたか?
Season 3 はまるまるLindyで終わってしまったが、私の英語Lifeはまだ終わらない。

次回、最終章のSeason4 では、英語習得を目指して葛藤した日々の顛末(てんまつ)と、
「ツライだけじゃ続けられない!」英語の楽しい勉強法をご紹介!

ラブコメでリスニングのお勉強?
ゲームアプリで単語力UP?

さぁ、アナタはどれに挑戦する??


これがLindyのファミリー!愛娘SantanaちゃんはSuper Cute♡♡♡

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