山田りかのハートフルエッセイ

プロフィール:某酒類メーカーに勤務するかたわら、ママ達の日々の暮らしを見つめる勤労作家。年齢不詳。いくつになっても、竜也の前では乙女です。

No.62 ~散歩道から~ スポーツ2018

『午後の散歩道』に、ようこそ!
いよいよ師走に突入してしまいましたねぇ。平成最後の年の暮れ。皆さんも それぞれに慌ただしい日々をお過ごしのことと思います。

「やらなきゃいけない用事が多過ぎて、目が回りそう!」
そんなふうにボヤきながら、眉間にシワを浮かべているそこのアナタ、少しだけ足を止めて、行く年を振り返ってみませんか?
思い出すだけで元気になるような、あのアスリート達のこと。

というわけで、今年ラストの散歩道は、イベント盛りだくさんだった2018年のスポーツまとめをお送りしよう!


年末まであと少し。急げ~!!

1. 平昌五輪

このページに訪れて下さる方は覚えていらっしゃるだろうか。
2月下旬に行なわれた平昌五輪について、私がどこまでお話ししたか…。
タイトルは
散歩道53「”大会11日目”の平昌五輪!!」。

そう、このページの締切に間に合わせるため、原稿はオリンピックの途中、大会11日目で ブッツリ終わってしまっていたのである。

原稿を書いた当時の私は、フィギュアスケート女子で、当時15才のザギトワ選手が、絶対女王と呼ばれたメドベージェワ選手を打ち破り、新女王となったことも、スピードスケート女子が団体パシュートで圧倒的な速さを見せつけ 金メダルに輝いたことも、銅メダルを獲得したカーリング日本女子 (カー娘) の合言葉「そだね~」が流行語になったことも、知らなかったのである。


カーリングのストーン。可愛い♡

フィギュアスケート女子シングルは、同じコーチのもとで 幼い頃から研鑽(けんさん)を積んできた二人の少女が、世界の大舞台で それぞれの人生を賭けてぶつかり合った。
平昌のアイスリンクで、私たちは その熾烈(しれつ)な闘いを、固唾を飲んで見届けた。

ザギトワとメドベージェワを指導してきたのは、波打つ金髪にクールな表情が印象的なエテリ・トゥトベリーゼコーチ。
彼女はグルジアとロシア、アルメニア人の血を引く元スケーターで、教え子が会心の演技をしても、めったに笑顔を見せない「鉄の指導者」として有名な人物だ。

そんな彼女が、五輪の舞台で2人のメダル候補者を闘いのリンクに送り出したのである。

2. 人が目指すのはゴールドメダルただ一つ。

そして勝利の女神は、15才のザギトワに微笑んだ。
2人のスケーターがそれぞれの演技を終え、得点を待つ場所・キス アント クライで、エテリコーチが見せた複雑な表情を、私は今でも覚えている。


幼なじみの親友で、ライバル。勝負の世界は2人を引き離す。

競技の最終日は、好成績を収めた選手達が、趣向を凝らしてスケートを楽しむエキシビション。そこでトラ柄の全身タイツを身にまとい、セクシーで芸術的な演技を見せたザギトワは、世界中の人々の注目と賞賛を浴びた。
しかし私が目を離せなかったのは、何の飾りもない質素な黒いパーカーと黒のパンツという 黒ずくめの衣装で、激しく物悲しいロシア歌手の歌声に乗って滑ったメドベージェワの演技だ。
前の年のエキシビションでは、美少女戦士セーラームーンになりきって、弾ける笑顔を見せていた彼女が、五輪の大舞台で反逆者の魂を表現する。
私は一人の少女の流転の人生を目の当たりにし、息を飲む気持ちになったものである。

平昌の後、メドベージェワはエテリコーチと決別し、祖国を離れカナダへ渡った。
新しいコーチは、羽生結弦を2度の金メダルへと導いたブライアン・オーサー氏。
栄光と挫折を味わったメドベージェワが、再び女王の座につく日は来るのか、それを私は日本のお茶の間で、見守っていきたいと思う。

3. サッカーW杯

冬季五輪の年に開催される、もう一つのビッグイベントといえば、言わずと知れたサッカーのワールドカップ。
「そういえば、あったわねぇ」
なんて遠い昔の初恋に思いを馳せるような目をしているアナタ、あったんですよ、そこにもたくさんのドラマが!


W杯のテレビ放送は世界207ケ国、視聴者10億人!

まず最初の波乱は、大会直前のハリルホジッチ監督解任劇だ。
ロシア開催のワールドカップ、2ケ月前に司令塔の監督をクビにするなんて、
「日本代表、大丈夫なの!?」
国中のメディアが大騒ぎするなか、発表された新任監督の名前は西野 朗(アキラ)。
サッカー知識は乏しくても オトナな私は覚えていた。
彼がその昔、アトランタ五輪で、U-23 (23才以下) の日本体表チームを率い、優勝候補のブラジルを破って『マイアミの奇跡』を起こした男だということを。

西野氏は監督就任のインタビューで「1次リーグを突破する」ことを第一の目的に掲げた。その時の表情は硬く、報道記者はそろって
「西野で勝てるのか?」というニュアンスの記事を書いていた。

そんな日本全体を包む不安な気持ちを、シュート一発で打ち払ってくれたのは、日本のエース香川慎司である。
対する相手は前回のワールドカップで大敗を喫したコロンビア。

試合開始6分、ゴール前で敵のファウルを誘い、PK(ペナルティキック)の権利を得た香川は、冷静にシュートを決め、先制点を勝ち取った。
試合はその後コロンビアが同点に追いつき、後半28分に本田のコーナーキックを大迫が頭で合わせ、これが決勝点となって初戦をモノにした。


あのPKの緊張感はスゴかった!

翌日のテレビでは、かつて高校サッカーのロッカー室で負けた選手が訴えた「大迫ハンパないって!」のひと言がひっきりなしに流れたものだが、素人ファンの私から見たら、開始直後にPKをビシッと決めた香川こそ、「やっぱりハンパない!」選手だったと主張したいのである。

日本代表は、次のセネガル戦で2-2のドロー(引き分け)。
ポーランド戦では0-1と敗れたものの、勝敗同率のセネガルに対し、反則数が少ないチームが上、という「フェアプレーポイント」により、2大会ぶりの1次リーグ突破を果たした。

グループリーグの最終、ポーランド戦で、日本チームは 同時刻に行なわれたセネガルの試合状況を見極め、後半35分から動きを止め、ボール回しで時間を使った。
1点でもゴールを決めれば 2勝1分けで文句なく決勝リーグへ進む場面で、西野監督は主将の長谷部をピッチに送り、0-1のまま試合を終わらせる「戦術」にでたのである。

あの試合に関しては、終わってからも批判する意見が多く、西野監督に対する風当たりは強かった。
しかし、思い出してほしい。彼は就任会見で日本代表の「1次リーグ突破」を目標として掲げたのである。カウンター攻撃が得意なポーランドの世界ランクは8位、日本は61位で、状況は0-1。
気持ち良く攻めてポーランドのカウンターに遭い、1次リーグで敗退するか、泥をかぶってもリーグ突破の可能性を追求するか。西野監督は勝負師の強い意志を持って、後者を選択したに違いない。

日本代表はその後、決勝トーナメント初戦で今大会3位のベルギーに2-3で惜敗し、ベスト16という成績で大会を終えた。

ベルギーとの敗戦後、西野監督は悔しさをにじませ
「何が足りないんでしょうね」とつぶやいた。
その時の、負けた男の顔に、熱く胸キュンした日本女子は、私だけではないはずだ。


倒れ込んで空を見上げた時の、芝生の感触…で、もらい泣き。。

平均年齢の高い「おじさんジャパン」と揶揄 (やゆ) された日本代表は、「テランガのライオン」と呼ばれるセネガルにも走り負けず、「赤い悪魔」のベルギーにも当たり負けしない、強くて上手いチームだったと私は思う。

4. 野球とテニス、そしてフィギュアスケート☆

大変! 平昌とW杯を熱く語り過ぎて、残りのページがなくなってきた!

2018年のスポーツといえば、金足旋風を巻き起こした高校野球や、USオープンで日本人初の優勝に輝いたテニスの大阪なおみも忘れてはいけない。

練習設備の整った全国規模の有名校がひしめくなか、秋田の県立農業高校が、選手交代なしの全員野球で決勝戦まで勝ち上がり、日本中の感動を集めたことは記憶に新しい。


甲子園は野球少年の憧れの大舞台!

上半身を大きく反って歌う金農の「全力校歌」も話題になったが、甲子園ミーハーファンの私が気になったのは、イケメンエース吉田輝星投手の白い歯!
思わず「吉田輝星 白い歯」でググってみたら……出てくるじゃないですか、あの白過ぎる歯の秘密が!

「アンタってほんと、物好きねェ」
とビタママY子に呆れられながら追跡したところ、あの白いのは、歯ではなくマウスピースだったということが判明。
決して大柄ではない身体から、歯を食いしばって150kmを超える投球をする吉田投手は、歯科医の勧めで 高2の頃からマウスピースを着用している、とのこと。

先日のドラフト会議で日本ハムに指名された吉田投手。話題の選手を上手に育てる日ハム・栗山監督のもとで、白いマウスピースを輝かせながら、大きく成長していって欲しいものである。

一方、テニス界では褐色の肌に栗色のロングヘアが魅力的な大阪なおみ選手の「なおみ節」が、日本中の話題をさらった。
「今の気分は?」と聞かれて
「んー? 眠い~」拙い日本語で答える彼女は、
コートのなかでは世界女王セリーナ・ウイリアムズをも打ち負かすパワープレイヤー。


なおみのサーブは超パワフル☆

そのギャップがなんとも可愛らしく、「大好きになった!」という声を多く耳にするけれど、ミーハーテニスファンの私が気になるのは、技術面のみならず、精神面で彼女を大きく支えるイケメンコーチ、サーシャ・バイン氏の存在だ。

サーシャは前述の女王セリーナ・ウイリアムズ他、世界ランク1位に輝いた3人の選手のヒッティング パートナーだったという前歴の持ち主。
ヒッティング パートナーというのは、コーチではなく練習で打ち合う相手。
その彼が、大阪なおみのコーチに就任してから、彼女の快進撃が始まったのである。

それまでのなおみ選手は、パワーと技術に並み外れた才能を持ちながら、ミスが続くと嫌気がさして調子を崩し、なかなか頭角を現すことができなかった。
しかしサーシャがコーチとしてガッチリと彼女を支えるようになってから、ミスをしても、その場で深く呼吸を整え、気持ちを立て直すなどして、タフな試合でも気持ちを乱すことが少なくなってきたのである。

セットを落としてベンチに戻り、俯くなおみの足元にひざまづき、
「大丈夫、なおみならできる。絶対にできる。ぼくは知っている」
と励ます姿を目にした私は、

「サーシャ、私のところにも来て!」
と、深夜の部屋のテレビの前で、小さくつぶやいてしまうのである。

 

さて、~散歩道から~ 2018年スポーツ、いかがでしたか?
「いや~、いろいろあったねェ」と思い出に浸るアナタ、
イエ! 2018年はまだ終わっておりません。

フィギュアスケートの次の大舞台は、12月7日から開催されるグランプリ ファイナルだ。
これは 毎年世界6ケ国で開催されるグランプリシリーズの上位6名による頂上決戦。
そして闘いはクリスマス前の全日本選手権へと続く。


フィギュアスケートは男子もドラマチック

これを書いている11月18日現在、グランプリシリーズ・ロシア大会では、平昌の金メダリスト、羽生結弦とアリーナ・ザギトワが2位以下を大きく引き離して優勝し、共にグランプリファイナル進出を決めている。

2人の他にも、平昌でザギトワに敗れ、カナダへ渡ったメドベージェワが、どのような転身を遂げるのか、真央ちゃん以来のトリプルアクセルで赤丸急上昇の紀平梨花ちゃんの成長は?
考えるだけで ワクワクするのが、2018-19年のフィギュアスケートシーズンなのである。

ただ心配なのは、ロシア大会の直前練習でジャンプの着氷に失敗し、足首を痛めてしまった 羽生結弦選手のこと。
彼がグランプリファイナルと全日本選手権に出場するかどうか、現在は白紙の状態だ。

「あぁ!ユヅがまた~っ!!」とハンカチを握りしめる世界のユヅファンに、彼は
「これもまた羽生結弦だということで、これからも応援して下されば」
なんていうコメントを送っている。

ファンをハラハラさせながら王者の道を歩む千両役者は、今年も健在なのである。

さて、駆け足でお送りした散歩道的スポーツ2018、いかがでしたか?

ユヅのように足首をグキッといわさないよう、皆さまも身体に気をつけて、よい年の瀬をお迎えください!


ザギちゃんとマサルの2ショット♪ 仲良しこよし♡

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