子どもの「気になる」行動は、それだけで発達障害が疑われるものではありません。
ただ、複数の「気になる」ことや困りごとがあるとき、あるいは成長とともに困り感が増してくるようなことがあれば、早めに誰かに相談し、専門機関を受診してみましょう。その結果全く問題ないということもあれば、もしかすると見逃していたお子さんのつらさに気づいてあげられるかもしれません。
早いうちにその子の特性に気づき、その困難を取り除くことができれば、子どもたちは生きづらさを感じることなく楽しく成長でき、また苦手なこととは別の新しい能力を伸ばしていけるかもしれません。ですから「発達障害」という言葉に反射的に不安や拒否感を覚えるのではなく、正しく理解して、子どもに寄り添い適切に対応することが大切です。
自分のお子さんが発達障害かも?と思ったら、親がまずどう動けばいいのか、4つのSTEPでご紹介します。
STEP1 子育ての悩みを整理、チェック、相談する
過去と現在の子どもの育てにくさや気になる行動を、時系列でピックアップしてみる。
園の先生に子どもの行動で指摘されることがあったり、子どもの「気になる」行動リスト20でチェックし、複数該当する場合はSTEP2へ
子どもの行動には必ず理由があります。「気になる」行動の多くは発達の段階によくあるもので、成長とともになくなったり、周囲の適切な対応で改善したりします。 ただ、なかなか改善が見られない、あるいは「気になる」行動が複数見られるとき[…]
STEP2 へ進むべきか、悩んでいるときは、まずは身近な子育ての専門家に相談!
園の先生
園からお子さんの「気になる」行動を指摘されることもありますが、親として集団生活に不安がある、発達で「気になる」ことがあるときは、まずは身近な先生に相談してみましょう。
かかりつけの小児科
「気になる」ことをメモしておいて、予防接種や定期健診の際などに個別に相談してみましょう。
地域子育て支援センター
各市町村で、就学前の子どもと保護者が交流するスペースを提供。有資格者の相談指導員が従事し、子育てに関する相談などにも対応しています。
保健センター・保健所
各市区町村に設置されている公的機関。乳幼児期の定期健診などで行くこともあるのでなじみがあります。子育ての悩みや健康相談にのってくれます。
STEP2 療育施設を探し、見学・相談
施設の見学や相談は受給者証がなくてもできるので、申請の前に一度、利用したい施設に見学と子どもの相談、療育内容・利用方法、空き状況などを聞きに行くといいでしょう。
その子によって必要な療育内容が異なるため個別計画が立てられるが、施設によって力を入れている療育プログラムが様々なため、お子さんと一緒にいくつか施設を見学してみましょう。
療育施設
公的施設
地域療育センター(0歳〜未就学児まで通園可能。相談は小学校まで継続可能)相談から診断・評価・療育にいたるまでの一貫したサービスを受けられます。
民間施設
●児童発達支援事業所(未就学児0~6歳)
●放課後デイサービス事業所(小学生7歳以上〜高校生18歳)
※民間療育施設の中には、療育だけでなく、医療と療育が連携し、同一施設かグループ系列の施設で診断・評価・療育を受けられるところもあります。
空き状況・4月開始の通園時期のタイミングによっては、民間の療育施設を探すのもいいでしょう。
民間の療育施設は、療育内容も様々であったり、曜日(休日利用も可)や時間、送迎のしやすさなどで選べる点があります。
※利用日数の上限内であれば、療育の内容によって複数の施設や地域療育センターと合わせて通うことも可能です。
※利用費用は、就学前障害児を対象とした児童発達支援等のサービスの利用者負担額が無償化です。就学後は、費用の一割を負担しますが、所得に応じて上限月額が設定され、1か月に利用した日数に関わらずそれ以上の負担は生じません。複数の施設に通う場合は、「利用者負担上限管理事務依頼届出書」を最も多く利用する施設に記入してもらい、区役所に提出します。
→横浜市HP
場合によっては、小児神経科、児童精神科などの病院で診断
発達障害かどうか、診断し、お子さんの状況を把握します。
小児発達外来の病院数が患者数に対してまだ少ないため、初診受付の予約を取るのに時間を要することも多いです。
STEP3 受給者証の申請
施設の利用には「受給者証」が必要です。診断名がつかないグレーゾーンでも医師の「発達支援が必要」の意見書があれば、「受給者証」をもらい療育施設を利用することができます。
申請先は、各区役所、市役所のこども家庭支援課になります。
まずは電話で問い合わせ、各区の担当者と面談を行い、申請書+支援利用計画(または、横浜市:こどもサポートプラン、川崎市:セルフプラン)を提出します。
【横浜市】
各区受給者証申請窓口一覧
●障害児通所支援全般の問い合わせは→コチラ▶︎
【川崎市】
各区受給者証申請窓口
地区/問い合わせ先 | 電話 |
麻生区/高齢・障害課 障害者支援係 | 044-965-5159 | 宮前区/高齢・障害課 高齢・障害課障害者支援係 | 044-856-3304 | 中原区/高齢・障害課 障害者支援係 | 044-744-3296 | 多摩区/高齢・障害課 障害者支援係 | 044-935-3302 | 川崎区/高齢・障害課 障害者支援係 | 044-201-3215 | 高津区/高齢・障害課 障害者支援係 | 044-861-3252 | 幸区/高齢・障害課(障害者支援係) | 044-556-6654 |
支給決定され約1ヶ月後に、受給者証が交付されます。
STEP4 療育施設で、サポートを受ける
困りごとに応じたプログラムで教育・指導をし、生活や学習のしやすさを促すサポートが療育です。各療育施設によって特色はありますが、運動やコミュニケーションスキルなど、幅広い訓練プログラムを提供します。
子どもの成長に合わせて、その時に必要な療育(通所する年齢層のバランス、学習支援や、就労に向けたソーシャルスキルのトレーニング、パソコンスキルなど)を受けられるよう、療育施設を変更していく必要もあります。
受験に向けた学習支援に強い塾や施設、就労移行型の放課後デイサービスなど、リサーチしておくといいでしょう。
みんなの疑問!Q&A
Q.療育とは?
A.
「治療をしながら教育すること」で、障害のあるお子さんの発達状況や困りごとに応じて、個別の支援計画を作成し、困りごとの解消あるいは軽減のサポート、成長に合わせた集団生活への適応訓練などを行います。お子さんに「気になる」仕草や行動が見られる、あるいは「発達障害」の疑いがある場合には、専門的な療育サポートを受けることができます。
お子さんと一番接する親自身が特性を理解し、適切なアプローチ(接し方・関わり方)ができるようになれるように「ペアレントトレーニング」を行なってくれる施設もあります。
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Q.受給者証とは?
A.
療育施設などの利用、発達支援の福祉サービスを受けるためのパスポートようなもので、各市区町村に申請し、交付を受けます。サービス内容や利用可能日数などが記載されており、交付されれば施設利用負担額を約1割程度に抑えて利用することができます。利用したい施設、サービスの種類、利用希望日数などを各市区町村に申請します。交付には医師の診断や児童相談所での発達検査の結果が求められますが、今現在困りごとがあるというご家庭には比較的スムーズに交付されます。療育手帳や障害者手帳とは違い、1年ごとの更新になります。通所日数の変更や通所先を追加する場合は、再発行が必要です。
*世帯収入に応じて、負担額は変わります。
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子育て応援プロジェクト『気になるこんそーしあむ』
1999年以来、横浜・川崎エリアを中心として子育てファミリー向けの情報発信を担ってきた『ビタミンママ』が主幹となり、主旨にご賛同いただいた施設・企業・医療従事者など、さまざまな専門家の皆さまとともに、子どもの「よりよい発達」はもとより、子育ての中で「気になる」ことすべてを考え、互いにサポートしていくプロジェクト『気になるこんそーしあむ』を発足しました。
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